2021年6月29日、沖縄の地元紙、琉球新報や沖縄タイムスで大々的に報じていたことがる。
それは、前日の28日に石垣市議会が自治基本条例の改定を賛成多数で可決したというもの。
なぜ、地元紙が大騒ぎしているのかと言うと。
石垣市では自衛隊配備に対して、反対派による住民投票を行おうと市民有権者の4割程度の署名を集めたが、議会で2度否決。その後、裁判も起こしたが市民側が敗訴、現在も最高裁までもつれ込んでいる。
その裁判結果や議会にも地元紙や反対派は文句タラタラだったが、議会の決定なのだから後から文句言っても仕方がない。
議会の決定に対して、裁判をしても負けるは法治国家の日本では当然ことである。
しかし、もの揉め事を起こしている根本原因がこの「自治基本条例」なのだ。
今回の自治基本条例改定はこの住民投票に関わる面が大きく、基地反対派からすれば、自分達に不利になる要素があるとして反発をしている。
もちろん、沖縄タイムスや琉球新報は左派メディアであり、基地反対派と足並みを揃えて反発している。
しかし、今回の自衛隊配備反対派の住民投票実施の請求で、この自治基本条例の不備が見つかった為に、改正したにすぎない。
琉球新報や沖縄タイムスでは、
「住民投票潰しだ」
「地方自治の理念を歪めた!」
「条例は骨抜きにされた」
などと書いているが、ちゃんと調べると、何ら骨抜きにもなっておらず、本来あるべき条例となっている。
相変わらず、左翼の勝手な解釈。
そして、真っ当な条例に改定されると、何かまずいことでもやっているのかと疑ってしますような論調だ。
解説
それでは、簡単に解説します。
今回改定された箇所は大きく3箇所。
一つ目
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)市民市内に住み、又は市内で働き、学び、若しくは活動する人をいう。
これを↓
(1)条文中の「市民」の定義を石垣市内に住所を有する者とすること。
と改定。
【解説】
市民の定義が曖昧であった。
要するに、市内に住んでいると言えば誰でも「市民」扱いになるのだ。
この中には様々な市民活動をしている人を含むと言う意味合いも含まれている。
ちゃんと、石垣市に住民票のあるものを「市民」と位置付けたということ。
二つ目は
第27条
市長は、市政に係る重要事項について市民の意思を確認するため、その案件ごとに定められる条例により住民投票を実施することができる。
第28条
市民のうち本市において選挙権を有する者は、市政に係る重要事項について、その総数の4分の1以上の者の連署をもって、その代表者から市長に対して住民投票の実施を請求することができる。
↓
この両方を削除。
【解説】
この部分に対して、猛反発しているのだが、
実は、国が定める地方自治法で50分の1以上の署名で住民投票を請求できると規定されており、それに基づけば良いだけのこと。自治基本条例条例よりも簡単な手続きで可能。
しかし、この条例文が追加された背景は、市にとって重要な案件に関しては、個別に議会で十分に議論が必要である為にハードルを上げて追加したもの。しかし、反対派は1/4以上の署名を提出すれば、「市長は必然的に住民投票をしなければならない」と解釈し、争う原因になっている。
そもそも、良かれと思って追加しがものが争いの原因になっているのであれば、削除するのがもっとも真っ当な方法であると考える。
さらに、条例文をこねくり回して、文面を変更するなどの方法もあろうかと思うが、それはそれで、将来、別の揉め事になるだろうと思われる。
三つ目
第42条
この条例は、市政運営の最高規範であり、他の条例等の制定又は改廃にあたっては、この条例の趣旨を尊重し、整合性を確保しなければならない。
↓自治基本条例を「市政運営の最高規範」とする規定の削除。
第42条
この条例は、他の条例等の制定又は改廃にあたっては、この条例の趣旨を尊重し、整合性を確保しなければならない。
【解説】
これは、単純な話。
「最高規範」という文言は常識的に日本国憲法を指すものであり、削除したということ。
以上
左派が反発するように、今の石垣市議会は保守派が与党であり、今争っている自衛隊配備反対の住民投票を議会は阻止する側面も実際あるだろう。
しかし、石垣市の自治基本条例に関して問題点があったのは事実であり、それを改定することは当然のことだ。
また、沖縄タイムスや琉球新報では、なぜ改定したのかの基本的な説明や不備があった点に対しての解説もないのが実情。ただ住民投票をさせない為に改定した!との論調ばかりで何ら物事の本質が見えてこない。
唯一、解説をしていたのは、石垣の八重山日報。
沖縄の揉め事を理解するには、八重山日報の購読をお勧めします。
八重山日報
https://yaeyama-nippo.co.jp/
最後に
自衛隊配備に対して、賛成、反対の意見が市民から出るのは心情的には理解できる。
しかし、自衛隊配備や沖縄本島でも様々な基地問題は、地方自治体が決定できる問題ではなく政府が決める重要な国防の問題である。
住民投票で多数と取ったからと言って、それで配備を取りやめていては、国家が持たない。
そのことを、石垣市民や沖縄県民、そして日本人がちゃんと考える必要があると思う。
石垣市自治基本条例(改定前)
https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/material/files/group/9/jichikihon.pdf
石垣市自治基本条例(解説付き)
https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/material/files/group/13/jichi_kihon.pdf
改定後の全文はまだ石垣市のサイトに上がっていないようです。(2021.7.2現在)
以下、今回の件の地元紙の反応。
琉球新報と沖縄タイムスはほとんどが有料記事なのが笑えます。
八重山日報
自治基本条例改正を可決 「住民投票」「最高規範」削除 石垣市
自治基本条例改正へ 議員提案、住民投票など削除 28日、本会議で採決 石垣市
琉球新報
「住民投票つぶしだ」「議論の多様性失う」石垣市の自治基本条例改正 傍聴席から怒号も
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1346318.html
【記者解説】石垣市自治条例 市民の権利を奪う改正 問われる二元代表制
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1346330.html
<社説>石垣基本条例改正 地方自治の理念ゆがめた
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1346598.html
沖縄タイムス
[解説]手続きを無視した暴挙 石垣独自の民主主義を否定 市議会、自治条例から住民投票を削除
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/777738
社説[石垣市自治条例改正]根幹が骨抜きにされた
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/778244
条例改正「要件欠く」 石垣議会 野党議員ら抗議
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/778971