7月12日の琉球新報に、小さいが興味のある記事が掲載されていた。
沖縄で半導体「十分にできる」河野沖縄相、持論を展開
【東京】河野太郎沖縄担当相は9日の会見で、沖縄の日本復帰前に米大手の進出計画が合った半導体メーカーの誘致について、「沖縄でも十分やっていける」との認識を示した。
河野氏は、半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)が1972年の復帰前に沖縄に拠点開設を計画していた点を踏まえ、「物流コストの占める割合が相対的に小さいものについては、沖縄でも十分やっていける」と持論を述べた。
世界の半導体市場で存在感を示している台湾の例を揚げ、「台湾のメーカーが頑張って供給している部分がある」と指摘。「沖縄は東京から遠いかもしれないが、アジアでは日本で一番近いという地理的条件もある」と沖縄のアジア市場での優位性を強調した。
河野氏は、6月14日の衆院沖縄北方特別委員会での屋良朝博氏(立憲)への答弁でも、「沖縄では半導体関係の産業の集積が少しずつ出てきている」と説明。「物流コストが大きくない産業というところにも、しっかり着目をする必要がある」として前向きな姿勢を示していた。
2021.7.12琉球新報より転載。
河野大臣は以前から、沖縄の観光以外の経済発展などへ様々な提案を行っている。
しかし、持論ベースで何か具体的に検討に入っている事例は耳にしていない。
今回もそのひとつだろうと思われるが、沖縄で半導体企業を誘致するなど、一見、非常に頼もしい案であると感じた。
今、高性能な半導体産業は、台湾のTSMCの独壇場となっており、その影響で製造が追いつかなかったり、国際間の揉め事の火種になったりしている。米国と中国との対立のひとつに、この台湾をどちらが支配できるかで半導体の優位をどちらが得られるかという側面があるとも言われている。
また、日本が日米の貿易摩擦で事実上半導体を手放したとき、日本の技術や技術者の多くが中国や台湾、韓国へと流れた。
TSMC自体は、中国本土の影響が強い企業とも言われており、間接的に日本の技術が中国人民解放軍の兵器に利用されているという懸念もある。
このような状況の中、アメリカではTSMCの工場の誘致、独自での半導体製造企業の育成に多額の国家予算を注ぎ込もうとしている。
日本でもTSMCの研究所を日本に誘致する方向で話が進んでいる。しかし日本の場合、日本政府がほぼ100%出資して研究所を誘致し日本の技術者と共同に研究開発を進めても、結果として日本の技術がTSMCに持っていかれるだけと言われており、すでに失策感が強い。
日本は、日本独自での半導体の研究開発そして製造の育成をすべきだろう。
もし、河野大臣が日本独自の研究開発や製造を念頭に発言されているのであれば、非常に将来性のある提案となる。
しかし、河野大臣の過去の発言などを見聞きしていて、思いつきでの発言が多い。
現状のワクチン接種に関しても、大盤振る舞いでワクチンを全国の自治体や企業に出荷した結果、需要を大きく超えた数のワクチンを配布してしまい、ワクチン不足に陥ってる。
また、河野大臣と言えば、父親が河野談話で有名な河野洋平氏で、先日の中国100周年記念で中共に祝電を送るほどの親中である。
もちろん、河野洋平氏とは別人格であるので一概には言えないが、河野太郎氏の過去の発言には、親中寄りの発言も多く見られ、注意が必要である。
半導体メーカーは日本にも多数ある。
また、日本の半導体を製造するための機器に関しては世界トップレベルである。
しかし、半導体業界というのは、国境を超えている側面もあり、常に技術の盗み合いのような業界で、企業自体の売買や親会社がコロコロ変わるなど、私のような素人には全く裏がみえにくい。
メーカーも親会社も日本の企業であっても、実際には中国と結びついていたりする場合もあるようだ。
書籍やYouTubeで有名な、深田萌絵氏のようによほど業界に詳しくなければ実態は見えてこない。また深田萌絵氏自身への攻撃や誹謗も多く、何が正しいのかが見えにくのも実態である。
このような業界で、100%日本の企業として研究開発を行う企業を沖縄に誘致するのであれば、大いに検討しても良いが、高度な半導体を製造できるまでは数年が必要となる。
日本の技術でも最低5年程度は必要だろう。
即効性を求めるのであれば、厳しいかもしれない。
もし、即効性を求め、外資企業の誘致や日本の半導体関連企業でも、中共と結びつきのある企業を誘致してしまった場合、沖縄の地理的優位性が逆効果となり、中国の餌食になるだけだろう。
TSMCのような大企業に成長した企業が沖縄にあれば、中国などは簡単に沖縄に軍事的攻撃はできなくなる。自国の半導体調達にも影響が大きいからだ。しかし、影響が日本国内だけのような企業を育ててしまった場合、半導体工場が狙われる可能性もある。
大企業があることで、中国は確実に沖縄に触手を伸ばしてくることも容易に想像できる。
今、半導体はPCやスマホだけではなく、車から冷蔵庫まであらゆる分野で必要なものとなっている。
半導体の供給が止まれば、家電から自動車まで製造できなくなるのが実態であり、日本の産業への打撃は大きい。
今回の河野大臣の持論には非常に頼もしいと思う反面、危険な側面もある。
沖縄にも半導体や、半導体と強い結びつきのある高度な通信の企業が数社あり、実績を積みかさねているのは事実である。
現時点で、中国との関係などは見えないが、その分野に精通した複数の人の意見なども必要だろう。
もし、今後、沖縄への半導体企業誘致などが検討された場合、沖縄県は『半導体』という最先端のイメージだけに食いつかず、慎重に検討すべきだろうと思う。