西村大臣の飲食店への、酒納入禁止、金融機関からの圧力に対して、政府が躍起になって火消しをし、菅総理も謝罪している。
この問題、当初西村大臣だけの発言ではなく、政府内で文書まで作成されていたことが明るみになり、さらに問題は大きくなっている。
それでも、内情が明るみになる前に、すでに騒ぎは大きくなり、政府への批判が高まった。
単に、政府批判のための左派による批判や、飲食店が声をあげるということではなく、自民党を支持する保守系からの批判の声が大きく、また、飲食店の休業要請を賛成、容認する人たちからも批判が上がった。
そして、日が経つごとに政府イメージが落ちており、読売新聞の世論調査でも、内閣に対して最低の支持率となっている。
なぜ、西村大臣ひとりの発言として報道されていた時点からここまで保守派から批判が出たのか。
結論から言えば、この問題発言は、保守派が最も忌み嫌う、社会主義や全体主義的発想であったからだ。
ネット上では、北朝鮮か!習近平か!などと批判しているものもあった。
法的根拠だの営業の自由だの難しいことではなく、多くの人が西村大臣の発言を聞き、感覚的に違和感や怖さを感じたのではないかと思う。
通常、自身の生活に関わらないことであれば、スルーされることであ流が、飲食店でもない国民から声が上がったのも、この発言に違和感を感じたからだろう。
また、金融機関の圧力を撤回してからも、批判が強くなったのは、酒納入禁止だけではなく、西村大臣の政治家として感覚に違和感を感じたからだろう。
法的根拠がないことを大臣が発言し要請すること自体が異常なのだ。
例えば、学校で一教師が突然、「明日からスニーカーを禁止する!」と校則にはないことを全校生徒の前で発表した場合、誰しもが「なんで?」となるだろう。
この教師に対しては、学校なり教育委員からなんらかの罰則を受けることになるだろう。
しかし、政府は西村大臣になんら罰則を加えておらず、また、後々、政府の一部で文書まで作成されていたことが明るみになり、ますます批判が大きくなっている。
政府は国民の感情を全く読めていないとも感じる。
今回のことの発端は、酒納入禁止、金融機関からの圧力の前に、グルメサイトで飲食店の感染対策ができていない店を通報するシステムを導入すると発表していた(これは今でも撤回されていない)。
このことに、少し違和感を感じた人が多くいる。
これだけであれば、まだ賛否があるというレベルだが、その後、立て続けに酒納入禁止、金融機関からの圧力と調子に乗ったようは発言が続いた。
そして、問題視され批判が相次いだことで、撤回はしたものの批判は止まっていない。
それは、国民の多くが、これら一つ一つの案件に対して怒っているのではなく、このような対策を平気で打ち出してくる感覚に対して違和感を感じたり怒っている。
この国民感情に政府は気づかず、ただ撤回だけしているから、国民からの批判が止まらないのだ。
現時点での菅総理の発言の報道などを見ていても、この国民感情には到底気づいていると思えない。
これでは、次の総選挙で菅政権は非常に痛い目に合うのではないかと思う。
また、飲食店の業界は全体的に保守系が多い。
特に、数店舗を経営しているような飲食店は保守系が多く、業界団体が押す議員がいるのも実態である。
このような状況であれば、矛先は菅政権全体に移っていくと思われ、西村氏の更迭だけで果たして状況を改善させることはできるのか疑問である。