先日、沖縄本島北部、西表島、奄美、徳之島の世界自然遺産への登録が決定した。
沖縄県は歓迎ムードである。
反面、今後、観光客が増えることも予想され、環境保全も大きな課題となっている。
沖縄の魅力には青い海に加え、本島北部や西表島の手付かずの自然や絶滅危惧種などを含む希少生物も多数存在するのも大きな魅力である。小さな生物では新種がよく発見されている。
この沖縄の自然は観光資源としても魅力的であり、今後も守っていく必要がある。
しかし、沖縄はこの環境保全に真剣に取り組んでいるようには感じられないのだ。
基地問題では環境を訴え、商業ベースでは環境破壊する沖縄
辺野古の埋立が始まった当初、県内外から、
「辺野古の埋立は反対で那覇空港の埋立はスルーなのか」という素朴な疑問の声が良く聞かれた。
誰しもが疑問に思う通り、沖縄県は基地問題が関わると、ダブルスタンダードなのだ。
これは、保革の政治家問わず、経済界なども含め、そのような構図になっている側面もあるから面倒なのだ。
この構図のことはまた別途書くとして、今回は環境に関して書いてみたいと思う。
辺野古の埋立に関しては、ジュゴンや現在も希少サンゴの移植などで、県と政府で大揉めとなっている。
この辺野古の環境に関しての県の対応は、あくまで辺野古の工事を阻止するための対応であり、真剣に環境問題に取り組んではいないということ。
だから誰の目から見ても、辺野古はNGで那覇空港はOKなのかとの疑問が出てくる。
辺野古埋立工事の裏では、那覇空港の第二滑走路建設だけではなかったのだ。
もっとも、悲惨だったのは、本島東海岸にある泡瀬干潟の埋立である。県の要望で政府も金を出し埋め立てた場所だ。
そもそも、干潟は観光客が喜ぶような白い砂浜などの海ではないのだが、希少生物が多数存在し、また漁業にとっても重要な場所である。
地元の反対も強かったものの、いとも簡単に埋め立てしまった。
実際に工事中に大量の貝の死骸が発生し、埋立工事が終わった現在では、地元の人からは海の色が変わってしまったと、今でも嘆く声があるのも事実である。かなりの生態系が破壊されたのではないかと思っている。
なんの為の埋立なのかと言えば、あまり人が集まらない東海岸に人を呼び寄せ、発展させるために商業施設の誘致をメインに埋めてた。しかし、その経済効果は疑問視されている。沖縄県民の誰しもが、「あんな所を埋立ても成功しないだろう」という場所である。
さらにこの埋立を最終的に承認したのは、左派系の市長であった。
泡瀬干潟に関しては、過去のブログをご覧ください。
沖縄・泡瀬干潟問題
https://ameblo.jp/netouseiji/entry-12285541743.html
そして、この当時、インバウンドを見越し、沖縄県内はリゾートホテルの建設ラッシュでもあった。
基本的に陸地に人口施設を作ることは、そのまま直下の海に影響が出る。しかし、沖縄県は本土の企業、外資も関係なく許可を出し、様々な高級リゾートホテルが建設された。
また、今までリゾートホテルなどなかった、本島南部などにもいつくかのホテルができている。
さらに、今後、問題となってくるのは、那覇軍港の浦添移設である。
この移設に関しては、日本共産党が明確に反対している以外、玉城デニー知事も那覇市長、浦添市長も容認している。
移設先は、元々キャンプキンザーという米軍基地跡地。今返還中で、海岸は先行して返還され、すでにパルコシティーという大型ショッピングモールもできている。
その斜め向かいの海岸に那覇軍港を移設予定である。
しかし、ここの海岸、長らく米軍施設があったことで、手付かずのイノー(サンゴ礁に囲まれた浅い海)が残されていて、返還当初は、希少生物や新種の生物が多く発見されていた。
また、沖縄はこのキャンプキンザーの返還に伴い、那覇空港から宜野湾までの海岸に道路を建設。
この道路は今後さらに北部へと伸ばす計画である。
これらの開発で、一体どれだけの環境が破壊されたのか。
辺野古のサンゴなど微々たるものでもある。
また、ジュゴン!ジュゴン!との声もあるが、ジュゴンは15年ほど前に、本島周辺に3頭が確認されている。
しかし、それぞれが単独で生存されていて、放置すれば、辺野古の工事がなくとも消滅する状態であった。
辺野古の工事が始まってから、環境団体がジュゴン!ジュゴン!と言っている。本当にジュゴンを守りたいと思っていたのであれば、辺野古に関係なく、実態を調査しどのように保護して行くべきかを考えるべきである。
また、現在(2021年8月)騒動となっている、希少サンゴだが、政府に対峙して争うまでのサンゴの存在がなぜ辺野古の工事が始まるまで、沖縄県は把握していなかったのか甚だ疑問である。
自ら首の締める基地反対運動
辺野古の埋め立てを阻止するために、条例を作ったり裁判をして抵抗する沖縄県や左派政治家であるが、基地反対のための小手先の手法で反対するがために、結局、沖縄県自体の今後の経済発展に自ら首を締めているのではないかと思う。また、基地反対派の主張にも矛盾を感じる。
翁長知事時代に、辺野古の埋め立てを阻止するために、沖縄の海を埋め立てる際、外来生物の侵入を防ぐ目的で県外の土砂を搬入する際に届出をする条例を可決。(2015年)
持ち込み自体が禁止ではないものの、外来生物の防除対策ができていない場合、知事が勧告できる条例である。
この条例は、今後の沖縄の環境保全に有効な条例ではあるが、今後、商業ベースや公共工事での埋め立てなどが行われる際、沖縄県としては大きな足かせとなりかねない。
果たして、その後、民間の工事で沖縄県は、厳密に土砂に対してチェックをしているのかも甚だ疑問である。
また、今年の3月から、「本島南部の過去の戦争で亡くなった方の遺骨が入っている可能性がある土砂を辺野古の埋め立てに利用するな」ということで、座り込みや署名活動をされて知事に要望を伝えていた方がいた。この運動も大きく報じられていた。
しかし、本島南部の土砂は、すでに那覇空港第二滑走路や様々な場所で使用されている。
戦争で亡くなった方の遺骨をさらに基地建設に利用するのか!と反対されていたが、基地じゃなかったらOKなのか?
極論になるがラブホテルの建設だったかOKなのか?と素朴な疑問が出てくる。
結局、死者を反対運動に利用しているとしか思えず矛盾も感じる。
今、問題となっている、辺野古のサンゴ移植だが、これも、今後、沖縄県内の海を埋め立てる際、沖縄県は埋立予定地を調べ上げ、希少生物がいないかを確認しなければならないということだろう。
その希少生物を守ることができないのであれば、工事を中止するということなのだろうか?
現在も様々なところで、海岸の工事が行われているが、全てを一度止めさせ、本土からの土砂の搬入がないのか、希少生物への影響がないのかを玉城デニー知事は検査すべきだろうと思う。
環境保全に真剣に取り組め!
沖縄の美しい環境は、県にとっての最大の観光資源である。
もちろん、今のように観光に頼った沖縄の経済には問題があり、実際に新型コロナの影響や過去には湾岸戦争、米国テロなど、海外の情勢でも大きく影響を及ぼすため、観光以外の沖縄県経済の発展は必須である。
それでも、今後も沖縄の観光というのは重要であり、今、この環境を守って行かなければやがて沖縄の観光価値は下がっていくだろう。
基地反対派の方は、辺野古への基地移設に対して、未来の子供達のために平和な沖縄を守って行かなければならないと言っているが、軍事に関しては、今後の世界情勢によって左右される。東アジアの平和が安定すれば、必然的に沖縄の基地も縮小される可能性もある。
しかし、自然に関しては、一度破壊すると、戻せない側面もあり、「将来の子供達」というのであれば、自然環境を守ることの方が優先されるのではないかと考える。
上記に書いたように、海外沿いには常にリゾートホテルが建設されている。
また、山頂の見晴らしの良い場所には、ペンションやカフェを作り、本土からの移住者なども家を建てていたりもする。
山の上と言えども、沖縄の場合、数キロですぐ海であり、生活排水がそのまま海へと流れる場合もある。
下水を設置しても、車を洗剤で洗えば、それはそのまま海へと流れていく。
エメラルドグリーンの海を見ることができる古宇利島では、橋がかかって以降、カフェが乱立し、ホテルやペンションも多数建設された。
さらに、県内企業による大型観光施設もでき、観光シーズンは島中が車で覆い尽くされている。
この古宇利島の名物はウニ。
以前は、シーズンに行けば、ウニ丼などが食べることができたが、ここ数年はウニがほとんど収穫できなくなり、ずっと禁漁が続いている。
私から見ても、15年前から比べると海の色も褪せてきていると感じる。
ちなみに、この古宇利島近海もジュゴンの生息地であった。
宮古島では、伊良部大橋が掛かり、橋を渡った南側の海岸沿いには宿泊施設やカフェなどの建設ラッシュである。
空き地買収の取り合いのような状況だ。
それ以外、宮古島の様々な所に大型の高級リゾートホテルが建設されている。
一時は、工事関係者だけでバブル状態となっていて、宮古島のアパートの家賃は跳ね上がり、地元の人が住めなくなるという問題まで発生していた。
このような状況になるのも、沖縄の土地の規制が低く、建てたい放題なのが原因ではないかと感じている。
翁長前知事は、とにかく観光客を1000万人にする目標達成に必死で、クルーズ船の誘致などを積極的に行い、大型船が停泊できる港まで作った。
しかし、クルーズ船などは、数は増えるが、宿泊は船の中、船から降り、ちょっとした土産を買うだけで経済効果は薄い。正直、クルーズ船の経済効果はほとんどなく長期的には沖縄にとってマイナスだったのではないかと思う。
また、LCCなどの飛行機の乗り入れも多いが、LCCで沖縄に来る観光客が沖縄に落とす金額は少ないだろう。
一時、ハワイの観光客数を超えたと大騒ぎしていた時期もあったが、
ハワイへの観光客の一人当たりの消費額は19万円に対して、沖縄は7万円である。
ハワイの倍の観光客を入れても、金額では追いつかない。
人の数が増えればそれだけ公共面で整備が必要となり、血税が飛んで行くだけである。
沖縄としては、観光客一人当たりの県に落とす金額をあげるために、高所得者の長期滞在などを推進する必要もある。
実際にアジアの金持ちは、沖縄にはセレブに見合ったホテルがないことで、避けられていたのも実態である。
そこで、宮古島にその人たちに対応できる高級ホテルや、本島にもハワイでトップクラスのハレクラニなどもオープンした。
これは重要なことであり、決してリゾートホテルの建設を反対している訳ではない。
環境を守りながら、今後の沖縄観光産業の収益を効率よく増やし沖縄のブランドイメージを高める努力が重要である。
これを、今真剣に取り組まなければ、無造作にホテルが乱立し、また、コロナが長引けば倒産するホテルも出てきて、そのまま放置され幽霊ビルになるようなホテルも出てくる可能性がある。
沖縄県としては、特定の場所に対して、一切の建設を禁止したり、今後、ホテルや観光施設を建設するにもハードルを上げる必要があると考える。
海岸沿いなど、多くの砂浜がウミガメの産卵場所であった沖縄であるが、今では多くが無くなりつつある。
浜辺を壊さずとも、近隣に人工灯が灯っていれば亀は警戒し上陸できない。
辺野古の希少サンゴを守るのであれば、沖縄近海の海にどれだけ希少サンゴがあるのか調査すべきだろう。
環境!環境と言えば聞こえは良いが政治的にサンゴを利用するような態度は、沖縄の環境を真剣に考えているとは到底考えられない。
また、最近は左翼運動家が、北部の山林の中に米軍が放置した実弾やゴミを問題視し、拾っては道路に放置して書類送検されるなどしている。
しかし、北部の山中は、米軍のゴミだけではない。
とにかく一般人の不法投棄が多いのだ。
最近は減ってはいると思うが、犬や猫の捨て場ともなっていて、今でも野犬などもいる。
このペットが野生化して、ヤンバルクイナなどの希少生物を捕食してしまっている。
この不法投棄やペットの問題も、熱心に取り組んでいる団体もあるものの、沖縄県として強い条例を制定して規制すべきだろう。
最近では、海のプラスチックゴミが取り上げられているが、沖縄では釣りをする方が非常に多い。
しかし、釣りのスポットに行くと、絡まった釣り糸だらけでの場所もある。
私は過度な自然環境保護を訴えるタイプではないが、単純にゴミは持ち帰り、釣り糸や漁具などで、ウミガメやイルカなどに影響がでるもの関しては、徹底した沖縄県としての啓蒙が必要なのではないかと思う。
止まったままの沖縄の環境規制
沖縄で一定の広さでなんらかの建設を行う場合の条例だが、平成27年に改定されて以来、そのままなのではないかと思う。
法的なことは無知なので、確かではなく間違っていたら申し訳ないのだが、県のサイトを調べたところ、沖縄県県土保全条例は平成27年に改定されて以降、更新はされいない。
平成27年は前翁長知事が就任して1年の時期である。
翁長知事となって、沖縄県議会は辺野古の埋立を阻止するための条例は作っているものの、実際には沖縄県としての環境保全に関しては法的には放置されたままである。
前翁長知事も現玉城デニー知事も辺野古反対で当選した知事であるので、大いに辺野古反対をすれば良いだろう。(私は批判するが)
しかし、辺野古反対だけを主張して、将来の沖縄に対して放置したままである。
翁長知事は生前、辺野古の問題だけに7割の時間が裂かれたと発言されていたが、これはとても問題である。
県民生活や将来の沖縄に対して何も行っていないということだ。
玉城デニー知事に関しては、翁長知事以上に実績が聞こえてこない。もちろん新型コロナで翻弄されるので、単純な批判はしたくはないが、それでも、あまりにも行政としての仕事がおろそかになっているのではないかと危惧する。
保革問わず、仲井真知事時代までの知事は、将来の沖縄の観光や産業に向け、官民一体となって様々取り組んできていた。
環境保全に関してはあまり熱心だったとは言えないものの、当時の沖縄の問題として、県民所得や観光業の発展のためのインフラ整備、観光業以外の産業誘致などにも様々な取り組みがあった。
沖縄に観光客が1000万人訪れても、水不足、電力不足にならないのは、過去の知事の実績があったからである。
また、一部は失敗し、まだ芽が出ていない面も否めないが、特区などを導入し、新たな産業を沖縄に起こそうと過去の知事は取り組んできていた。
特に仲井真知事の実績は非常に大きく、今の知事はその実績の上で成り立っていると見て良いだろう。
国内外企業に食い荒らされている沖縄
今、沖縄でリゾートホテルを建設したり、運営している企業は、ほとんどが県外は国外企業である。
宮古島のリゾートホテルでは、中国系の企業であり、すでに北海道などでは問題になっている企業である。
国内外の企業が沖縄に入ること自体は、致し方ないが、あまりにも無防備に土地が買い荒らされているもの実態だ。
国防上問題があるとの意見も多いが、環境面でもこのような状況を続けていれば、いずれ沖縄の環境は外部によって破壊されるだろう。
環境に関しての実態調査、そして条例の制定を!
玉城デニー知事、又は選挙によっては来年新たに知事になられる方は、保革問わず、沖縄の環境に対しての公約を掲げ、長期的な沖縄の環境保全に関して動いてもらいたいものだ。
すでに沖縄はハワイの取り組みを研究もしており、どのようにすべきかは分かっているはずである。しかし、それを実行していない面もあると思われる。翁長知事以降、基地問題に翻弄され放置されているのか、沖縄の経済界との関係などの問題があるのかは分からない。
しかし、世界自然遺産に登録されたこの時期に、沖縄の環境を守るための行動に対して、そうそう反対できるものでもないはずであり、積極的に将来の沖縄の環境資源のために取り組んでもらえる知事や政治家の登場を期待したい。