米軍が先日まで那覇軍港で行なっていた、民間人の救出を目的とした訓練だが、沖縄県と那覇市が反発。
訓練が行われている最中にも抗議を行なっていたが、終了後にも沖縄県側が基地担当者を米軍基地に派遣し、ニール・オーウェンズ大佐に遺憾の意を伝えた。
ここで、オーウェンズ大佐から、今後も訓練を行う可能性があると示唆した。
これに対して、現時点で玉城デニー知事からの正式なコメントは報道されていないが、反発するだろうと見れる。
また、琉球新報や沖縄タイムスではすでに反発的な論調がで初めている。
ここで、今後問題となってくるのが、那覇軍港の浦添移設である。
すでに、沖縄県と那覇市、浦添市は移設に合意しており、実際の軍港の形状などを巡って議論され、それも大枠で決定している。
ただ、漁業組合との調整など、様々な問題もあり、実際に移設するには相当な時間が必要だろうと思われる。
また、玉城デニー知事としては、自身を支持している、日本共産党始めオール沖縄勢力の中には、那覇軍港移設に反対する勢力も多いのが実態で、具体的に動きずらい面もあり、玉城デニー知事は移設に消極的である。
玉城デニー知事となって、県、那覇、浦添の三者協議も、確か1、2回行われただけであったと記憶している。
ちなみに、現松本浦添市長はある程度積極的容認の立場であり、当初、浦添市側が提示していた建設案を引っ込め、当初の県側が提示した案で基本合意の方向である。
城間市長も玉城知事も、前翁長雄志市長・県知事時代の意向を踏襲している。
しかし、城間市長も玉城デニー知事も、革新系であり、その支持母体は左派政党で、上記に書いたように、那覇軍港移設に反対の政党や支持者もい。
また、軍港移設は、「辺野古移設とどう違うのか?」と、保守層からの批判の対象にもなり、積極的に動きづらい面もある。
こんな中、今回の那覇軍港で訓練が行われたことで、琉球新報が新たな解説論を報じた。
話は日米返還時に遡る。(これは琉球新報の記事ではない)
返還時に日米間で日米地位協定に基づき『施設分科委員会覚書』と言う密約が交わされている。
昭和45年5月15日に交わしたもので、通称『5・15メモ』と呼ばれている。
この『5・15メモ』には、米軍が日本国内で訓練を行う際の基地や民間地、自衛隊との共同訓練、水域や空域の使用範囲やその訓練内容が合意されている。
沖縄に関して米軍は、返還前と同じように民間地での訓練も容認するよう要請していたが、『5・15メモ』によってその範囲が決められ日米間で合意している。
しかし、この『5・15メモ』は長らく公開されていなかった。
沖縄県内で問題があるたびに、小出しに公開されて、1997年7月(平成9年)にようやく、外務省から全文が公開された。
外務省のHPに英文と仮訳が公表されている。(下部にリンク)
琉球新報の論調を要約すると、
「『5・15メモ』には、那覇軍港の使用目的は「港湾施設および貯油所」となっており、今回の訓練は『5・15メモ』に反している。今後も同訓練を実施することを米軍側が示唆したことで、沖縄県が那覇から浦添に移設する前提が崩れた。」とのこと。
簡単に書くと、
沖縄県は『5・15メモ』に基づいて、那覇軍港は、積荷の上げ下ろしと貯油所だけの港と認識していたので、浦添移設は容認したが、軍事訓練するような危険な施設なら容認できない。とのこと。
今後、浦添移設が本格化し始めた場合、左派な必ずこの論調を出してくるだろう。
また、玉城デニー知事や城間那覇市長は、この論調で慎重姿勢に態度を変える必要がある。
「軍事訓練を行わない条件が出るまで、移設は容認しない!」と言うことで政府に対抗してくる可能性も高いのではないか。
ちなみに、日本政府は、今回の訓練は問題がないとしており、政府から米軍に申し立て等は行なっていない。
確かにこの論調は的を得ているように感じるが、軍事施設内で訓練をしてはいけないのか。
特に今回は、戦闘訓練ではなく、民間人の救出の訓練である。
災害時に備え、ヘリで救出する訓練など、民間でも普通に行なっている。それを危険だと言う人はいない。
民間の訓練でも、事故が起こる可能性はゼロではない。
なぜに、米軍の訓練だけを特別視するのだろうか。
沖縄タイムスも、「新たな基地負担ガー」と社説でまくし立ている状況だ。
最後に前回も書いたが、
玉城デニー知事を筆頭に沖縄の左派やマスコミは、米軍批判を展開しているが、沖縄県民の命に対して現実から乖離している。
台湾有事がこれだけ騒がれいる中、台湾から数百キロの与那国や石垣・八重山のことなど全く心配する気配もない。
沖縄県として、せめて、与那国や石垣などで、表向きは災害目的として自衛隊や海保なども入って、民間人を救出するための訓練を行なっておくべきなのではないかと思う。
残念なことに、玉城デニー知事は全く離島に関心はない。
もし台湾有事が起こり、それが与那国や先島に飛び火した場合、皆殺し状態である。
玉城デニー知事には、米軍批判ばかりではなく、ちゃんと現実を見て沖縄県民の命を守る対策を行なってもらいたいものである。
琉球新報(有料記事)
那覇軍港訓練、浦添移設の前提条件崩れる 制限なき拡大の恐れ 米大佐「理想的」発言【記者解説】
沖縄タイムス
社説[米軍 那覇軍港で訓練]歯止めかけぬ政府とは
地位協定第25条に基づいて設置され合同委員会・通称『5・15メモ』
日本語【仮訳】(PDF)
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