昨日、火蓋が切って落とされた石垣市長選。
27日の投開票に向けて激しいバトルが繰り広げられている。
沖縄は今年、選挙イヤーである。
先月行われた、名護市長選、南城市長選に続き、政権自民党とオール沖縄勢力の戦いの第三弾である。
名護市長選、南城市長選では、自公が推薦する国政与党側が勝利し、玉城デニー知事が率いるオール沖縄が2連敗している。
今回の石垣市長選では、自公推薦で現職の中山氏に対して、元保守で中山氏を支えてきた砥板氏が事実上、左派勢力をバックに対抗馬として出馬。報道では砥板氏陣営を「保革」と表現しているものの、保守勢力は市議などの一部の数名で、陣営の人材や資金などは事実上、日本共産党など左派系であり、実態は自公vsオール沖縄と言っていいだろう。
争点は、リゾートゴルフ場開発やコロナ対策などがあるが、最も大きいのは、自衛隊配備に関してである。
中山氏は、自衛隊配備を推進する立場である。
それに対して、砥板氏は、左派が訴える自衛隊配備に伴う住民投票の実施を訴えている。ただし、砥板氏自身が自衛隊配備に対しての賛否は明言していない。
左派勢力にとっては、単純に自衛隊配備反対と言うだけの左派候補では勝てないとして、砥板氏を擁立しているものと思われ、まずは自衛隊配備に反対するために効果的な住民投票を重要視しており、それを実施するために砥板氏を支援。砥板氏としても現中山市長と新庁舎建設で中山氏と対立したことで、市政刷新のために出馬を決意。
双方の思惑が合致した形である。
しかし、もし砥板氏が当選し住民投票を実施した場合、結果がどうであれ石垣島は混乱するだけだろう。
住民投票で、配備反対と結果が出た場合、賛成と出た場合、どちらであってもどのように対応をするのかが全く不明であり、あまりにも無責任に感じる。
もし、反対が多数となった場合、すでに進んでいる配備をどう阻止するのか?
辺野古のようには行かない。
沖縄県政は辺野古反対の立場であり、様々な県の権限を使って政府と対峙しているが、石垣の自衛隊配備に対しては、『住民合意のない自衛隊配備に「明確に反対する」』とは言っているものの、事実上、工事が進んでいる今、沖縄県として工事を承認しており実際には容認している状況だ。
すでに進んでいる工事を阻止するためには、沖縄県が工事の承認を取り消すなどの対応が必要となってくるだろう。砥板氏はそれをどのように考えているのか。
石垣の民意を沖縄側に訴え、玉城デニー知事率いる沖縄県政の立場を明確化させる必要がある。
そのためには、県議会の過半数を自衛隊配備反対の立場に変えていく必要がある。オール沖縄と言っても、米軍基地には反対であるが、自衛隊に対しては容認の立場の議員などもいる。
県議会でもオール沖縄から離脱している議員が出てきている状況で果たして沖縄県政を自衛隊配備反対の立場へ変える見込みがあるのかを砥板氏は示す必要がある。
また、住民投票で配備賛成となった場合、砥板氏ご自身はどのような立場を取るのか。自身を支持している主な勢力は自衛隊配備反対派である。住民の意識を重視するのであれば、この時点で自身を支援する立場の人は離れることになる。
砥板氏が自衛隊配備に反対の立場を明確にして出馬していれば白黒はっきりするが、今の立場で出馬するというのは、あまりにも将来の石垣市に対して無責任なのではないかと思われる。
今の立場で出馬し、住民投票を行えば、結果がどのようになろうと石垣市は混乱するだけである。
今、国防として先島への防衛強化は喫緊の問題であり、政府の動きすら遅いと感じるくらいである。
逆に左派勢力としても、急速に進んでいる軍備増強に強い危機感を持っているだろう。
その中で、このような曖昧な市長が誕生することは、逆に混乱するだけである。
左派がなぜ砥板氏を擁立しているのか全く理解に苦しむ。