3月12日午後0時40分頃、伊江島で、医療NPO法人「メッシュ・サポート」所属の小型ヘリが訓練中に墜落し、2人が死亡。
死亡したのは、指導役の男性(73)、訓練生の男性(61)。
指導役の男性は、2015年から同機を操縦し、18年から指導役を担っていた。1万時間以上の飛行経験者。
訓練生の男性は、元航空自衛官で操縦歴40年のベテランパイロット。
落下直前の午後1時前、事故機のパイロットから「通常通り着陸する」とメッシュに連絡が入った。その2、3分後、フェンスに衝突、大破し全焼した。
事故機は米ビーチクラフト社製A36型の単発プロペラ機。27年ほど前に製造され中古で購入。
フライトレコーダーは義務付けられていない。
「メッシュ・サポート」は、離島患者の搬送、離島への医師派遣などを行なっている民間NPO法人。
2015年から運用を開始。7年で339件の実績があり、本島を拠点に、与那国島から奄美大島までの半径700キロが活動範囲。
クラウドファウンディングや募金などで資金を調達し運用しているが、過去に資金不足で一時運用を停止したり、運用の見直しを図るなど行い、ここ2年は安定した運営ができていたと思われる。
今回の事故によって、人員が欠けるだけではなく、資金面などに影響が出ないか心配である。
玉城デニー知事は、「県として何らかの支援ができないか検討する」とコメントしています。
また、今回の事故で、沖縄のマスコミは冷静な報道を行なっているが、もし、米軍機だった場合は、「沖縄県民の命が危険に晒される」として、大々的な報道になっていただろうと想像できる。
過去、死者が出ずとも、米軍の墜落事故や不時着などの事故は何件もある。その都度、沖縄は米軍によって危険に晒されているとして、連日、大々的に報道し、また、毎年、その日になると特集などを組み報道しています。
民間のヘリであれ、米軍機であれ、事故の可能性はゼロではない。
今回の事故は、これから調査が入り原因が究明されるだろうが、操縦ミスであれ、機材の不良であれ、責任は「メッシュ・サポート」にもあるはずだが、その部分の指摘や批判は一切ない。
原因が分かり次第、指摘はするとは思うが、あまりにも報道のあり方が違いすぎる。
ただ、問題点として、米軍の場合、事故原因など公表されないため、そこへの不信感があるのも沖縄の実態である。
また、沖縄では、「メッシュ・サポート」の実績や実情を時々報道しているが、沖縄の救急搬送を担っているメインは陸上自衛隊だ。
新型コロナの救急搬送で一昨年あたりは、多少の自衛隊による救急搬送が報道されたが、通常、自衛隊の救急搬送が報道されることはほとんどない。それほど日常業務となっているからだ。
沖縄第15旅団(陸自)は、1972年から2020年までに1万人の救急患者輸送を行なっている。
また、2007年には濃霧の中、救急搬送に向かった自衛隊ヘリが徳之島の山中に激突し、隊員4名が犠牲となっている。
今回の事故で、救急搬送に関わる方が6名死亡したことになる。
沖縄の離島医療は、自衛隊と「メッシュ・サポート」が支えています。
しかし、民間の場合、「メッシュ・サポート」のように資金面や人員の確保が難しい。
また、自衛隊だけに頼っている現状に、政府や沖縄県も甘えがあるのではないかと思う。
医療は医療として、独立した形を検討する必要があるのではないかと思う。
法律上、難しい面もあるのではないかと思うが、沖縄のように離島が多い地域の医療に対して、政府もそして何より、沖縄県として行政のできることを考えてもらいたいと思う。
年間数百件の救急輸送がある沖縄だ。
「メッシュ・サポート」がベースになっても良いと思うが、沖縄県が一定の資金を出し、消防管轄で救急ヘリ輸送専門の組織を構築して運用することは出来ないものだろうか。
その上で、万が一、ヘリが足りない場合や、一気に多くの人数を輸送する際などに、自衛隊が出動する形にすべきではないかと思う。
国民の命を守るための活動全般が自衛隊にはあるが、メインは国防である。
今後、沖縄では、その任務の比率が大きくなるであろうことは、誰の目から見ても明らかだ。
同時に、大規模災害の場合や、有事に備えた対策も非常に甘いと感じている。
災害や有事、そして医療を合わせ、検討してもらいたいと思います。
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