沖縄県豊見城市の市長や副市長によるパワハラ問題だが、昨年10月の市議会で、市議の一部から「山川市長が複数の職員に対してパワハラを行っている可能性がある」と質疑を行ったことから始まっている。
山川市長は、この時点から一環してパワハラを行ったことを否定している。
その後、市議による「実態把握調査特別委員会」(大城吉徳委員長)と、山川仁市長による「第三者委員会」(平良卓也委員長)が設置された。
市議によって設置した「実態把握調査特別委員会」(大城吉徳委員長)では、班長級以上の職員165人にアンケートを行い、2月3日に結果が公表されている。
165人の内、130人が回答。
パワハラを受けたと回答した人は26人(20%)。
見聞きしたり相談を受けたと回答した人は91人で70%。
パワハラを受けた相手は、市長が22人、副市長が8人、教育委員が1人、その他が3人。
この結果に対して、大城吉徳委員長は、弁護士などの専門家の知見が入っておらず、事実認定はできないとしており、山川市長も関与はないと疑惑を改めて否定。
自身が設置した「「第三者委員会」の推移を見守る」と述べている。
その後、3月30日に「第三者委員会」が実施したアンケート結果が公表された。
市職員823人を対象として、回答したのは469人。
この469人のうち113人(24%)が、パワハラを受けたと回答している。
この内、33人は山川仁市長ら市三役から受けたと回答。
自由記述欄には山川仁市長から「すごいけんまくで、大声で怒鳴られた」、「それでも管理職か、降格したいのか」と発言されたことなどの記載があったと報道されている。
しかし、平良卓也委員長は、この結果でパワハラの有無を判断することは難しいとして、パワハラ認定は行わず、第三者委員会の調査は集結となる。
この時点でも、山川仁市長は、「重くうけとめる」とは述べつつも、パワハラを行った認識はないと、否定している。
今後は、市議による実態把握調査特別委員会で問題が議論される見通しだ。
この問題を見てきて、感じることは、山川仁市長があまりにも不誠実でパワハラというもの自体に無知であることがわかる。
二度のアンケートを実施して、20%以上の職員が、パワハラを受けたと証言しているにも関わらず、なぜ、認定も行わず、調査を終了するのか。
パワハラは、人数やパーセンテージの問題ではなく、例え一人に対して行っても、市長や議員の首が飛んだ事例もある問題だ。
そもそも、823人の内、469人と半数強しか回答を得られていないアンケートで果たして、全体が把握できているとも考えづらい。
また、山川仁市長は「パワハラを行った認識はない。」と答えているが、一般的に、受けた側が、パワハラを感じたことで成り立つ問題であり、調査を打ち切り、否定し続けている態度というのはあまりにも不誠実に感じられる。
琉球新報に山川仁市長、記者に対する発言が掲載されているので、一部分を引用しておく。
山川市長は記者団に対し「(アンケート結果を)重く受け止める」と述べつつも、パワハラをした「認識はない」と改めて否定した。その上で「職責を全うする中で、熱い思いで指示をすることがある。それで心を痛めた人もいるかもしれない。改善すべきところは改善していきたい」と話した。ハラスメント防止に関する「条例制定も検討したい」とも述べた。
この態度自体が、パワハラであることを市長は認識されていないようだ。
「熱い思いで指示したことで、心を痛めた人もいる」
これが、パワハラだ。
ご本人がパワハラというものを理解していないなだけで、パワハラを行ったことを認めてしまっている。
山川仁市長は、2018年にオール沖縄勢力の推薦を受け、市長に当選している。この選挙では、保守の分裂選挙となり保守票が割れ、山川市長が誕生した。
沖縄県では、オール沖縄勢力と保守とのぶつかり合いもあり、今回の件は、市職員を巻き込んでの、保革の揉め事の一貫の可能性もある。保守的な考えの職員によって、パワハラがあったとの回答が出ている可能性もある。
しかし、中には議会で証言しても良いとの回答を寄せている職員もいる中で、市長の立ち上げた「第三者委員会」を終了させるなど、もってのほかだろう。
市議会は、保守や革新関係なく、さらに追求を行なって、事実関係を明確にしていただきたいもだ。
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