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昨日、沖縄県が訴えていた、辺野古抗告訴訟の上告裁判で最高裁が棄却した。
これによって、この訴訟に関しては、沖縄県の敗訴が確定しました。
この裁判に関しては、沖縄県民でも詳細を理解されていない方も多いかと思うので、簡単に流れを書いておく。
流れとしては、
政府:2013年 沖縄県に埋立申請
沖縄県(仲井眞知事):2013年12月 承認
沖縄県:2018年8月 軟弱地盤を理由に承認撤回
政府(国交相):2019年8月 承認撤回を撤回
沖縄県:2019年 国交相の撤回は違法として国交相を訴える(那覇地裁)
地裁:2020年 裁判の審理対象とならないとして棄却
福岡高裁:2021年 棄却
最高裁:2022年12月 棄却
今回のこの判決によって、沖縄のマスコミや地元紙では、地方自治権が脅かされているとの、論調が繰り広げられている。
また、玉城デニー知事も、今回の判決に対して、
「地方自治体と国は、上級、下級の関係があると言わんばかりの判断をしたものであり、地方自治の観点からも問題があると言わざるを得ない」
との、コメントを出している。
地方自治の独立性というものは重要であり、日本では、地方財政などの仕組みなどからまだまだ議論されるべき課題は多いと思うが、これが、外交や軍事という面に関しては、また異なってくる問題だ。
世界中見渡しても、外交や軍事という面では、基本的にその国の政府が権限を握っているものであって、一地方自治体が国全体の安全保障を左右させてはならない。
翁長知事以降、辺野古反対派の知事が続き、「県民投票でも辺野古反対の民意が示されている」との言い分も理解はできるが、知事が変わるだけで、日本の国防が左右されるというのは、いかがなものかと感じる。
もし、政府が沖縄県の意向をまったく無視して、ある日突然に辺野古を埋立始めたのであれば、多いに問題はあるが、普天間基地を辺野古移設に決定するまで、20年ほどの議論があり、それも、日本、米国、そして沖縄県、さらには名護市や宜野湾市の意向も聞きながら、辺野古へと決定した経緯があり、それを持って、地方自治を無視しているとは言い難いのではないかとも思う。
また、玉城知事はリベラルではあるが、自衛隊の存在まで否定しているわけではない。よって、石垣、宮古、与那国などへの自衛隊配備に対しては、政府の進めていることとして反対はしていない。
自衛隊にしろ、在沖米軍にしろ国防に関わることであり、離島への自衛隊配備に関しては沖縄県が関わる問題ではないとのスタンスをとりながら、辺野古に対しては、地方自治が云々と反対している姿勢には政治家として筋が通っていないのではないかとも思う。国防という面に関して、どのような考えを持っているのか、県民に説明してもらいたいと常づけ思っている。
また、辺野古移設に関しては、もしスムーズに運んでいれば、10年や15年前に移設が完了し、普天間基地の跡地もとっくに新たな町に変わっていたはずであるにも関わらず、最も重要な普天間基地の移設が進んでいない。
この原因がどこにあるのか。
そのことを、沖縄県民も沖縄の政治家も真剣に考えるべきだろう。
政治的な主義主張ばかりが先に立っていて、本当に沖縄県民の命を守る意志があるのか。
甚だ疑問である。
また、普天間基地の移設問題は、30年も40年も前に出始めた議論であり、その時代から今はまったく変わっている。
いったい、いつまで「辺野古」という象徴を政治利用し続けているのか。
すでに、日本の国防や米軍の再編などは、普天間基地の移設などは関係ないところで進んでいる。
日本や沖縄を取り巻く、他国からの軍事的脅威も30年前と比べて、大きくなっている。
そのような中で、沖縄県としても、どのように沖縄県民を守っていくのか。
そのために、沖縄県として何をすべきなのか。
その議論がまったくなされおらず、辺野古だ!那覇軍港だ!とピンポイントの議論しか行われていない。
玉城デニー知事は、リベラル派の知事であり、外交や話し合いで軍事的衝突は避けるべきだとの主張であると思われるが、それであっても、どのように外交で交渉し、そのために沖縄県ができること、すべきことなどを政府に対して意見をするべきである。
沖縄県は、様々な大災害や軍事的脅威に対して、ほとんど何もやってきていない。
万が一の有事の際、石垣や宮古島の島民をどう避難させるのか。
それ以外の離島で大きな災害が起こった場合、どう対応するのか。
通信が切れたら。
電力がなくなったら。
水がなくなったら。
石垣にシェルターを設置するというだけで、なぜか反対する人まで出てきて、マスコミがそれを大々的に報道する。
これが沖縄の現状である。
政治的スタンスが、右だ左だ関係なく、真剣に沖縄県民の命と財産を守ることを考え、危機感を持った政治家が出てくることを強く望む。