高市早苗氏が時期総裁選への出馬に意欲的であり、安倍前首相を支持する保守層からは圧倒的な人気である。
対中政策を筆頭に、国防や外交面など、日本の喫緊の問題に関しては、私も高市氏に大いに期待したい。
反面、アベノミクスを継続し、財政赤字を気にせず今は国債発行すべきと発言し、多くの保守層からこちらも支持されているようだ。
しかし、このアベノミクスだが、本当に良いのか?
日本はもう失われた30年と言われるようになっている。
この期間、自民党政権はひたすら税収以上の支出を続け、ひたすら国債を発行し、ゼロ金利を実行してきた。
この結果、今の日本はどうなってしまったのか。
国民の所得は減り続けている。
物価も停滞。
デフレ脱却どころか、未だに百均は元気満々で、30年前と同じものがそのまま100円で販売されている。
20年30年前は東南アジアに旅行に行けば、びっくりするほど物価が安く、多少ぼったくられても大した痛手ではなかったが、今ではアジア諸国の都会では日本と変わらないか、高いほどである。
マクドナルドののビッグマックの価格は、日本は31位。韓国やタイの方が高い。
中国とは10円の差しかない。
今、日本人が裕福なのは、現役世代が稼いでいるからではない。その親世代の貯蓄が現役世代に随分と流れている。現役世代で貯蓄がほとんどない家庭は半分程度とも言われており、また1/4が独身である。20〜30年もすれば確実に貯蓄もなく年金だけでは生活できない人、公的資金で介護する人が急増するのは目に見えている。
基本的に株価が上がるということは、企業の業績が良く、平均株価が上がるということは、日本経済が上向きであることを実証する。
確かに日本経済はまだ元気であるが、これが国民に現金となって降りていない。
企業は過去のバブル崩壊やリーマンショックの経験を経て、内部留保に重点を置いている。これは悪いことではないが、給与が低くとも従業員を確保できている今の状態が当たり前になっており、それが企業の蓄えとなっている側面もある。
日本の99%が中小企業だが、この中小企業が銀行を信用しなくなり、ゼロ金利であっても金を借りないということも続いている。銀行も本来の銀行の役割を果たさなくなっている。
ただ、政府としては、個人資産を金融機関に預けてもらわないと国債発行ができなくなるため、銀行を守り続けている。
イビツな形で固定されているのが今の日本の経済である。
破綻はせずとも、このような状態を続けていれば、いずれ日本は衰退する。
国民に資産があることで、政府は国債を発行できているが、永遠には続かない。
いい加減、この部分を改善していかなければ、30年後日本は経済大国から大きく脱落し他国に媚を売らなければならなくなる。
実際に今でも、経団連は日中間の関係悪化を恐れており、すでに企業は中国に首根っこを掴まれている。
どれだけ政治家が保守を名乗って中国に強い態度を示しても、経済を握られていては、何もできな。
本当の意味で中国に対して強い態度を取るのであれば、軍事力だけではなく、経済面でも日本が強くならなければならない。
保守層からは、今でも安倍前首相への支持は高い。
第二期安倍政権で、対中対策としてアジア各国と中国包囲網を構築した。これは評価すべきことで、今でもその流れは続いている。
しかし、後半は上記のように経団連の圧力などもあり、中国に対して強い態度をとれておらず、財務省の言いなりになり増税路線であった。
株価が上がっていることで、かろうじて経済は順調であると言えていたが、今後は新型コロナの影響もあり厳しい経済状態に陥っていくだろう。
そして、またバラマキをしようとしているのが、高市氏の国債発行である。
政府の借金で、世の中に金がじゃぶじゃぶある状態を続けるのは危険だ。
国債発行をしなければならない状況を作ってきたのたのが過去の自民党の政策である。
過去30年、日本の技術力を活かして経済を盛り上げたり、新しい産業を生み出すことを全く行って来なかった。
クールジャパンと言ってアニメを売り出したり、インバウンドで外国人に金を落としてもらうような安易なことしか行ってこなかった。
これらも悪いことではないが、根本的な日本の産業を発展させてこなかった。
それでも日本の企業は真面目であり、政府の方針に関係なく、自主努力で発展させてきたのは事実だが、しかし、多くの白物家電メーカーは外国企業に買われ、IT産業にも出遅れた。
さらに次にくるであろう、宇宙産業や次世代のIT産業など、出遅れるどころか出発点にも立っていない。
優秀な企業は外資に買われ、技術者も海外に流れてしまっている。
日本に高度な学問や技術を学ぶために留学に来る人も減ってきているのも実態である。
口では保守的なことを言っている国会議員もいるが、尖閣にすら誰も上陸すらせず、裏では中国の顔色を伺っているような議員も多い。
あまりにも「見た目だけ保守」の政治家が多すぎる。
民主主義をうたいながら、国内政策では社会主義国家のようなことを行ってきたのが自民党である。
保守派がトランプを今でも支持しながら、安倍前首相を支持しているが、国内政治ではトランプ前大統領と安倍前首相は真逆のことをやっていた部分にも目を向けるべきだろう。
トランプは国民の所得を上げ、失業者を減らし、誰もが日々普通に働き稼ぎ生活を送るという当たり前のことに重点を置いていたのだ。
しかし、安倍前首相は、国民には株で儲けろ、外国人に金を落とさせ、バラマキ政策を行ってきた。
高市氏も、国債をバンバン発行しようとしているが、これが意味するのは、国民から金を借りてそれをまるで政府が「お金をあげるよ」と言って国民に金をばら撒いているにすぎない。
そして、この国債は政府の借金であり、いずれ増税として国民に降りかかってくる。
日本の悪い癖は、戦後の高度経済成長の夢から醒めておらず、今後も経済が良くなる前提で国債を発行し続けている。
しかし、30年株価だけが上がって、国民所得が増えていないような状況で、政府が借金を作り続けても国債は焦げ付くのは目に見えている。
そして、その先にあるのは、増税。
本当の保守というのは、増税ではなく、国民に負担をかけずに国民を豊かにしていくこと。
増税だの減税だのという議論は本来、政治のメインではない。
国民を豊かにして幸福度の高い国家にすれば、必然的に税収は増えるものである。
新型コロナの影響で、国債発行はやむなしの状態ではある。
しかし、国債を発行して、いつぞやのように一人10万円をばら撒いたり、GoToなんちゃらのようなバラマキ政策で人気取りをやっていては、いずれこの国は根底から崩れていくだろう。
国民が政府に頼らず、縁の下の力持ちとして、国民の生活を守るのが政府の仕事であり、できる限り小さな政府を目指すべきである。
安倍前首相、高市氏に対しては、一定の支持はする。
しかし、国防の側面だけで、単純に高市待望論のように持ち上げているいる今の風潮には疑問もある。
保守層からは二階氏への批判も多い。
しかし、二階幹事長という妖怪を生み出したしまったのが、保守層や自民党支持派が作り上げてきた実態でもある。
保守層は、もっと冷静に多角的に物事を見て、判断し議論をすべきである。
日本の保守層はあまりにも、単純な議論しかできていない。
マスコミももっと高度な議論ができる報道をすることも付け加えておく。