昨日、投開票が行われた名護市長選及び南城市長選で、共に保守派が当選した。
■名護市長選
渡具知 武豊 20,389票
岸本 洋平 14,439票
名護市長選では、前回よりさらに1000票多い、5000票差で渡具知氏の圧勝。
■南城市長選
古謝 景春 13028票
瑞慶覧 長敏 11339票
南城市長選は、前回は65票差で瑞慶覧氏が当選したが、今回は1600票以上の差をつけ古謝氏が返り咲いた。
玉城デニー知事率いる、オール沖縄勢力が完敗した形だ。
南城市は辺野古には直接関係がないとは言え、『オール沖縄』という構図が沖縄に浸透している中、事実上の左派勢力は市民の生活や経済活動とよりも基地問題だけを訴える勢力と見なされ、コロナ渦で観光業や飲食業など大打撃を受ける中、オール沖縄勢力に対して「今は基地問題じゃない」という声が多かったのではないかと感じられる。
沖縄のマスコミが『辺野古!辺野古!』と基地問題に焦点を当てすぎたが為に、オール沖縄に対して距離を置いた人も多いのではないかとも感じられる。
特に、名護市に関しては、以前にも記事にしたように、名護市民にとって「辺野古は山の向こうの事」であり、生活圏外のことでもある。
辺野古を前面に出せば出すほど票が逃げたのではないかと思われる。特に名護市の経済界や観光業界は左派勢力に対して非常に厳しい意見を持っている人が多い。
観光客の多くは美ら海水族館に行くが、名護市は素通り。
宿泊も、那覇市や恩納村に集中している実態がある。
名護市にはオリオンビール工場もあるが、本社は浦添市。
この時期の桜祭りも、本部町や今帰仁村(今帰仁城址)に人は集中する。
日本ハムファイターズのキャンプは大きな観光資源であるが、オール沖縄の顔の一人であった稲嶺市長時代に、球場の老朽化に伴う立て替え工事がスムーズに行かず、2年間キャンプが開催されない時期があり、保守勢力から「稲嶺市長だと日ハムが撤退する」などのマイナスのレッテルを貼られてしまった。
このことに関しては、左派勢力によってファクトチェックも入っているが、このようなレッテル貼は左派勢力の得意技であり、どっちもどっちである。
名護市に関しては、疲弊する経済界、観光業界、そして市民の暮らしをまずは重視する政策を訴え、また4年間の渡具知氏の実績に対して一定の評価が得られたということだろう。
ちなみに、岸本洋平氏は、3代目名護市長、岸本建男氏の息子であり、名護市では一定の知名度もあったにも関わらず落選となった。
南城市に関しては、瑞慶覧氏の市政運営に対して、不満があったのだろう。
辺野古を中心とする基地問題には関係はないものの、南城市には比較的大きな自衛隊の知念分屯地があり、PAC3の配備の時には注目を浴び、国防などで重要な側面もある。
南城市は2006年に合併してできた市であり、まだ経済的な発展に力を入れている状況であったが、前回の市長選で左派勢力の瑞慶覧氏に変わったことで、市政が一新。
また、市議会も左派勢力が与党であり、経済界や観光業界からは不満の声が漏れていたのが実態である。
左派勢力にNOを突きつけた結果となった。
来月には石垣市長選が行われる。
順調に行けば、保守の中山市長が再選される可能性が高い。
また、4月にはキャンプハンセンを抱える、金武町長選、与那原町長選、沖縄市長選、久米島町長選などが続く。秋には那覇市長選。
そして、那覇市長選と同時期に、県知事選も行われる。
このままでは、玉城デニー知事率いる、『オール沖縄』勢力は非常に厳しい状況に追い込まれるだろう。
コロナ渦で経済界や観光業界などが大打撃を受けている中、市民生活はそっちのけで、「辺野古!新基地反対!」と声を上げるオール沖縄は沖縄県民の支持を得るのは難しいのではないかと思われる。
現在のオール沖縄は、保守派、経済界が脱退し、事実上、日本共産党率いるただの左派勢力である。
もし、基地反対派が勢力を保ちたいのであれば、『オール沖縄』という枠組みは捨て、市民生活に目を向けた政策を打ち出し、保革で正々堂々と戦わなければ今後さらに惨敗して行くのではないかと思われる。
しかし、沖縄のマスコミは永遠に「辺野古反対!」と報道し続けることで、『玉城デニー』『オール沖縄』というワードが出ただけで『辺野古反対しか言わない人たち』というイメージは払拭できない。
左派は味方だと思っていた地元の左派メディアに殺されていくのではないか。
左派にとっても、マスコミとの付き合いを考える時期になったのではないかと思われる。