昨日、竹富町の西大舛高旬(にしおおますこうじゅん)町長が完成談合の疑いで逮捕された。
続報として、落札業者であるJFEエンジニアリングの社員3人と下請け業者の2人を逮捕したと沖縄県警が発表している。
詳細も明らかとなってきた。
西大舛町長は、町議会議員の時からJFEエンジニアリングの関係者と親しい関係にあり、町長となって最低制限価格をJFEの下請け業者を通じてJFEエンジニアリングに漏洩。
落札価格は最低制限価格の差がわずか1000円だったとのこと。
事業自体は、海底の送水管更新工事の指名競争入札で金額は7億3700万円。
沖縄タイムス
竹富町長と受注業者側5人を逮捕 「海底送水管工事」で官製談合・入札妨害の疑い 沖縄県警
この事件は全国でも報道されたと思うが、このような事件は度々、日本全国の地方自治体で出てくる話なので、時が過ぎれば忘れ去られるニュースだろう。
沖縄でも数日経てば、経緯が社会欄の小さな記事で報道され、竹富町の町長選が行われる時に沖縄県民もふと思い出す程度となるだろう。
ただ、沖縄県内ではこのような事件が多い。
昨年は、宮古島市の下地前市長が陸上自衛隊配備に伴うゴルフ場の売買で賄賂を受け取ったとして、昨年末に懲役3年が求刑されている。(判決は2022年2月22日)
事件ではないものの、玉城デニー知事も沖縄県の事業を受注した業者と契約の前日に会食。しかもこの業者は玉城デニー知事の支援者であり、玉城知事は謝罪コメントを出している。
また、賄賂系ではないが、仲井真県政時代に識名トンネルの工事を巡って、沖縄県幹部が国から不正に補助金を受給していたことがあった。
こう言った事件が出てくるたびに感じるのは、氷山の一角だろうということ。
明らかに「賄賂をもらおう」「不正に受給してやろう」というものから、大した悪気もなく、付き合いの中で、入札価格を業者に教えるようなことは山のようにあるだろうと思われる。
離島などの土木工事に関しては、ある程度決まった業者が行なっていることは多く、大規模な工事でもないので、入札をスムーズに行う為に最低金額を漏らすようなことは日常的に行われてる可能性も高い。
30年40年前まではこのようなことも問題にはならかなかったのだろうが、さすがに今のご時世、様々な監視の目が向けられており、チョロチョロと発覚しているように感じる。
このような政治家と業者の癒着が沖縄県の経済に与えてる影響は大きい。
保守の首長であろうと、革新の首長であろうと関係なく、その首長にひっついていれば仕事と金が落ちてくる仕組み。これは沖縄に限らずどこでもあることだと思うが、沖縄はその傾向が強すぎる。
例えば、知事が変われば、いわゆる第三セクターや沖縄県の団体のトップが変わる。沖縄都市モノレールやコンベンションビューロ(観光協会)などだ。その時の知事を支援している県内大手企業内で人事を行なっている。
翁長知事が就任した時は、翁長知事を支持していた、金秀グループ内から沖縄都市モノレールの社長が誕生し、コンベンションビューロの会長はには、かりゆしグループの会長が就任。
沖縄県が計画していたMICE計画も翁長知事になった途端に、金秀グループが力をいれていた西原町に決定。
赤らまさますぎて笑ってしまったのだが、このようなことは普通で誰も当然のことのように受け入れている。
そして、沖縄県から流れる金がこういった企業に優先的に流れ行く。
さらに、これらの金が一般にまで流れれば良いのだが、一部の企業やそのトップ、政治家だけが儲かる仕組みにもなっている。
沖縄県は毎年国から3000億円の沖縄振興予算がおりているにも関わらず、県民所得は低いままである。
いっそのこと3000億円を県民に分配した方がよほど良いのではないかと思うくらいだ。
ちなみに、3000億円を県民145万人に割ると、一人当たり20万円となる。
このような単純なことではないが、沖縄の政治の癒着や談合などをどこかで断ち切らなければ沖縄はいつまでも貧困のままである。
また、沖縄には都市銀行がない。過去、宝くじの関係でみずほ銀行の支店が1店舗あるのみである。
あとは、琉球銀行、沖縄銀行の2行がメインだが、大規模工事や米軍が年間一括で工事を発注する際など、沖縄の銀行の力では、沖縄の建設企業に貸し出す力もなく、結局、本土の大手企業が落札し、沖縄の建設企業や土木企業は下請けとなる。
正直、上記の沖縄の銀行はとっとと合併し本土の銀行の参加に入るなりしなければ沖縄県の経済は頭打ちのままだろう。(将来的にこの2行は合併するだろう。水面下で業務提携が始まっている。)
この銀行や資金の部分を改善する動きもない。
さらに、こういった沖縄の問題点や闇の部分を暴くのが地元メディアの仕事であるが、メディアにとって地元企業はスポンサーでもあり、過度に叩くこともできず、追求もしていない。
以前、某大手スーパーで期限切れ商品が多数販売されていた事件があったのだが、この時も一報だけは大々的に報じたが、2、3日で報道は消えた。
結局、広告収入や折り込みチラシなどへの影響で報道しなくなったのだろうと思う。
これら以外にも沖縄には様々な政治と経済界との問題が多い。
ここにメスを入れる政治家や政府の介入がなければ問題は解決しない。
政府の介入として、昨年、沖縄県の酒税減税を段階的に廃止することが政府内で決まった。
沖縄県内で製造された酒類が安いことで、自然に沖縄で販売される酒類は安くなり競争はなくなる。
「放っておいても売れる。」という沖縄の酒造メーカーの甘えが出ていたのも事実である。
オリオンビールも居酒屋にビールを卸す際、開店祝いなどなれば、タダ同然で降ろしている。
また、ボトル一本500円から1000円程度の泡盛や、500円で飲み放題などもザラなのが沖縄の酒事情である。
これで、酒造メーカーも飲食店も儲けがあるのだから不思議だ。
酒税減税によって経営努力がおろそかになっている沖縄事情を見て、政府はメスを入れてきた一例だろう。
政府からメスを入れられる前に自助努力をしなければ、沖縄県は発展できないだろう。
ひょっとすれば、次にメスが入るのは、建設業界かもしれない。
沖縄県政はじめ各自治体も、こう言った癒着や甘えの部分に対して改善し、今回の事件のような『ゆるい』部分がないか襟を正していく必要があるだろう。