沖縄北部に開業した注目のテーマパーク「JUNGLIA(ジャングリア)」。開業1周年を迎え、会見で初年度の実績が公開されました。
しかし、発表された数字や現状には、課題や懸念点も多く浮かび浮かび上がった。このことは、沖縄県内以外の大手メディアでも報道れているとおりだが、沖縄県内の報道では、「懸念もあるが今後に期待したい」旨の報道が多い。
本記事では、ジャングリアの1年目の実績と沖縄県民のリアルな反応、そして実際に現地を訪れて感じた課題や「5年後のリスク」について詳しく解説する。
ジャングリア開業1年の実績|初年度来場者は100万人(美ら海水族館の3分の1)
ジャングリアが発表した開業1年目の主な実績は以下の通りだ。
- 初年度来場者数: 約100万人(一日平均 約2,500人)
- 売上見通し: 100億円超
- 経済効果: 約494億円(りゅうぎん総合研究所調べ)
来場者数100万人という数字は、沖縄の代表的観光地である「沖縄美ら海水族館」の約3分の1に。当初の目標には届かず、ジャパンエンターテイメントの加藤CEOも「残念ながら思うような数字に至らない結果」と語ったと報道されている。
当初、ジャングリアの「採算ライン(ペイできる基準)は一日平均5,000人」と言われており、現状の数字は厳しい経営状態であることを物語っているのが事実だが、琉球銀行などによる20億円規模の追加融資も発表されており、さらに、ジャングリアは政府から融資も入っている施設であり、すぐに閉鎖されるリスクは低い。しかし、勝負は「これからの2〜3年」と言えるだろう。
冷ややかから「それなり」へ?沖縄県民のリアルな評価と口コミ
開業前の沖縄県民の反応は、非常に冷ややかなものだった。
- 「名護や今帰仁に作っても人は来ないのでは?」
- 「やんばると言いながら、なぜ恐竜?」
- 「渋滞で大変なことになる」
開業後、SNSなどで混雑やオペレーションの問題が取り沙汰された際も「やっぱりな」という冷めた受け止め方が主流だった。
しかし、今年に入り混雑が和らぎ「県民割引」が始まると、実際に訪れた県民の声が聞かれるようになり、評価に少し変化が見られ始めている。
実際に訪れた沖縄県民の声
- ポジティブな意見: 「それなりに楽しめた」「スタッフの対応が良かった」「スパ(温泉)は悪くない」
- ネガティブな意見: 「待ち時間が長い」「夏場は日陰がないので絶対に行かない」
筆者が実際に4月に体験した感想(満足度65点)
筆者も4月にジャングリアを訪れてみました。
GW前でスタッフが少なかったせいか、アトラクションは1時間ほど待たされましたが、キャストの対応や食事は良好で全体の満足度としては「65点くらい」という印象。
過度な期待をせず「雰囲気を楽しみ、ひとつふたつ体験できればいい」というスタンスであれば、それなりに楽しめる施設だと言える。
また、有料の「プレミアム パス」を購入して、待ち時間なくアトラクションを体験した人は、非常に満足感が高いようだ。
専門家や地元が危惧する「ジャングリア3つの深刻な懸念点」
今後アトラクションの追加や改善が進み、満足度も上がっていくとは思うが、あと2〜3年で倍の入場者数を目指しているとすれば、大きな起爆剤が必要だ。さらに、ジャングリアには持続的運営を揺るがす深刻な課題が存在しているのではないかと懸念している。
1. 沖縄特有の「塩害・台風」対策不足(5年目の壁)
最も心配されるのが、沖縄特有の塩害と湿気、そして台風被害だ。
運営陣の中核は本土から来た方々である。開業前後に少し話をする機会があったのだが、沖縄の過酷な塩害環境を過小評価している印象を受けた。
こちらが「塩害対策はどんな感じですか?」と聞いても、(こいつ何を言ってるのだ?)といった表情を浮かべていたのが印象的だった。
実際に、豊見城市の「DMMかりゆし水族館」では、塩害や湿気対策が不十分だったためか、開業数年で映像機器やプロジェクターの故障が目立っていた。(しかもDMMは室内、ジャングリアは野外でもある)
彼らが天候を甘く見ていたのは事実で、実際に開業し日差しのきつさにクレームが殺到してから、大慌てでコンテナのような到底テーマパークには似つかわしくない空調部屋を設置したり、大量の日傘を無料提供。さらに今年になって、屋根のある大型のスペースを作っている。これは、沖縄の日差しの厳しさを認識していなかった証拠だろう。
屋外でリアルに動く恐竜のメカニズムや各種機器が、大型台風や塩害にさらされ続けた場合、5年目あたりから一気に老朽化・故障が頻発するリスクがある、実際にはもっと早くに訪れる可能性も高い。
昨年は運良く、沖縄本島を直撃する台風がなかったが、今年はすでに複数の台風がきており、台風当たり年になった場合、単なる休業による減収では済まない可能性もある。
2. 「やんばる×恐竜」のコンセプトのズレ
ジャングリアは「やんばるを感じてほしい」旨のコンセプトが掲げている。
しかし、沖縄県民が行って、やんばるを感じる人はいないだろう。ただのテーマパークとしてしかか受け止めていない。また、観光客も「沖縄らしい」と感じている人も少ないのではないかと感じている。
また、やんばると恐竜の関係性も謎のままだ。
沖縄から恐竜の化石でも多数発見されて有名な場所ならまだしも、恐竜とは無縁。
椰子の木が生えていて、ジャングルっぽいので、恐竜。という非常に稚拙なコンセプトだと感じる人も少なくないだろう。私はそう感じた。
見逃してはならない、株式会社「刀」の最大の欠点
USJをV字回復させた刀は、USJ復活の際、ハリウッド映画というコンセプトを根底から覆し、日本のアニメやゲーム、キャラクターなどを取り入れ回復させている。今後は、コンセプト無視で絶叫マシンなどを取り入れたり、ただただ集客が見込まれるコンテンツの導入をはかることも考えられる。
コンセプトである恐竜だが、イメージはあからさまにハリウッド映画の『ジュラシックパーク』である。
沖縄版ジュラシックパーク。と言われることもある。もちろん、ジュラシックパークの映画とジャングリアはまったくの無関係だ。非常に悪い言い方にはなるが、パクリでもあるのも実態だろう。
一点、忘れてはならないのが、刀という会社は、今まで、独自のものを生み出し成功した実績がないということを抜きにジャングリアの経営は語れない。
3. 「ただの遊園地化」では生き残れない沖縄の歴史
過去の歴史を見ても、沖縄では大小さまざまな遊園地が作られては、ことごとく閉鎖に追い込まれてきた。
そのようなことを、刀やジャパンエンターテイメントも調査済みだろう。私のようなど素人が考えるような、絶叫マシンを増やすだけの改善は行わないとは思うが、『遊園地』というものが長年継続していない歴史があることを根底に展開していく難しい舵取りになると思われる。
まとめ|ジャングリアの今後
とは言え、ジャングリ周辺には現在大型のホテルが複数建設中であり、それらのホテルの稼働が始まれば、1日の来場者数も大幅に伸びる可能性もある。
しかし、長期的に安定して入場者数を確保するには、大きな改善が必要になってくると思われる。
- 全天候型の対策: 強烈な日差しと突発的な雨を避ける大型屋内施設の建設
- ファミリー・シニア層の取り込み: 低価格で遊べる遊具や、実際のやんばるの自然を散策できるエリアの整備。アトラクション好きだけでなく、子供からお年寄りまで楽しめる空間づくりによるターゲット層の拡大。
- 塩害&湿気対策: 塩害と湿気対策は早めに手を打っておいた方が良いだろう。塩害は様々な機器へ一気にやってくる。その場合の休園や修繕費は大きな負担となる。
事業としての大きな曲がり角は「5〜6年目」に訪れると考えている。今後の大規模な改善と、沖縄の厳しい自然環境への適応ができるかどうかが、ジャングリアの運命を左右することになりそうだ。