古謝氏当選で早くも動き出した予算調整
2026年9月13日に投開票された沖縄県知事選挙で、自民・維新・国民民主・参政・日本保守・公明県本部が推薦した新人の古謝玄太氏(42)が、3選を目指した現職の玉城デニー氏(66)を破り、初当選を果たした。得票数は過去最多となる42万3124票、玉城氏との差は14万7000票余りと大差がつき、投票率も前回から3.65ポイント上昇の61.57%だった。保守系県政の誕生は実に12年ぶりとなる。
この結果を受け、政府内からは早くも歓迎の声が上がっている。政府関係者は「長く続いてきた国と県の分断が終わる」と述べ、辺野古移設を容認する新知事の誕生を歓迎した。
そして早くも14日、共同通信が速報した。政府・与党が2027年度の沖縄振興予算について、県が求めてきた3000億円超に増やす方向で調整に入ったというのだ。関係者への取材による内容だとされる。
琉球新報:【速報】沖縄振興予算、3千億円超への増額調整 古謝氏当選うけ
誰もが予測していたこととはいえ、投開票の翌日というあまりに早いタイミングでの報道だ。古謝氏が当選した場合に備えて、ある程度は中身も固められていたのだろう。選挙戦で古謝氏自身、玉城県政下で減額傾向にあった沖縄振興予算の大幅増額を求める姿勢を経済政策の柱の一つに掲げていたこともあり、公約とすり合わせる形での予算調整が進んでいる可能性は高い。
なお、選挙戦のさなかには、官房長官が沖縄振興予算と選挙結果を結びつける、いわゆる「リンク論」を否定する場面もあった。しかし結果的に、知事交代からわずか1日で増額方針が報じられたことは、その打ち消しとは裏腹の展開と言わざるを得ない。
なぜ「3000億円」がラインなのか
沖縄振興予算をめぐっては、「3000億円」がひとつの節目として語られ続けてきた。その起点は2013年末に遡る。当時の仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた埋め立てを承認したことと引き換えに、政府との間で毎年3000億円台の予算を確保するという事実上の約束が交わされたとされ、これが以後の目安ラインとなった。
その後、翁長雄志知事の時代には辺野古移設に反対する立場から政府との対立が深まり、予算は減額されつつも3000億円ギリギリの水準で組まれ続けた。しかし玉城デニー知事に代わってからは、2022年度予算(2679億円)以降、6年連続で3000億円を下回る状態が続いている。当初予算のピークは仲井真県政下の2014年度の3501億円で、そこから減少傾向が続き、2026年度は2647億円にとどまっていた。
2027年度は2897億円、そこからの上乗せへ
すでに2027年度予算の概算要求段階では、内閣府が沖縄振興予算として2897億円を計上している。これは前年度の概算要求比で2%(67億円)増、成立した前年度当初予算比では9%(250億円)増となり、金額としては2年連続の増加だが、それでも県が求める3000億円には届いていない。玉城知事(当時)は「予算編成過程で3000億円台を確保するよう切に要望する」とコメントしていた。
ここに古謝氏の当選が重なったことで、年末の予算編成に向けて2897億円からさらに上乗せし、3000億円台を回復させる方向での調整入りが、共同通信によって早くも報じられた。実現すれば、翁長県政末期以来となる3000億円台の予算が、保守系知事の誕生とともに復活することになる。
露骨なまでの「政治的配慮」
沖縄振興予算の推移を並べてみると、辺野古移設に協力的な知事のもとでは予算が積み増され、反対する知事のもとでは減額されるという構図が、この十数年にわたってほぼそのまま繰り返されてきたことがわかる。今回もその例に漏れず、県政の政治的スタンスの変化に応じて、政府の対応がこれほどまでにわかりやすく変わる。
これが政治の力学だと言われればそれまでだが、あまりにあからさまな政府の姿勢には、苦笑いを禁じ得ない。
