2026年7月更新
2022年3月11日、琉球新報が報じた『沖縄振興予算の公共工事、47%が県外企業受注 多くの利益が沖縄県外へ「還流」』という記事が掲載された。
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1979年度から2019年度の40年間で、沖縄振興予算による公共事業の47%(金額にして約7,567億円)を県外企業が受注していたという実態。近年(2007年〜2019年)の12年間でも31.3%が県外企業に流れている。
なぜ、沖縄を潤すための予算が県外に流れてしまうのか?その背景にある「技術」「資金」、そして「政治と企業の癒着」という沖縄の根深い問題(不都合な真実)に迫ります。
1. 沖縄の予算が県外へ流出する「ザル経済」とは?
沖縄振興予算が組まれているにもかかわらず、その多くが沖縄の地元に落ちず、本土へ流れてしまう仕組みを沖縄では「ザル経済」と呼びます。
法人税が沖縄に落ちない構造
本土の大手ゼネコンが公共事業を受注した場合、実際の現場を動かすのは地元の「下請け企業」であることが多いため、一定の雇用や利益には貢献します。しかし、もっとも大きな利益(元請けの利益)に対する法人税は、すべて本土の本社がある自治体に納税されてしまいます。
もし県内企業が直接受注できていれば、その法人税は税収として沖縄県に還元されますが、現状はその大部分が「すっぽり抜け落ちている」のが実態です。
【補足】大手企業が沖縄で「別法人化」する理由
公共事業に限らず、多くの県外企業が沖縄で利益を上げています。本土の大手企業(明治乳業、トヨタ、ファミリーマート、サントリーなど)が、わざわざ「沖縄〇〇株式会社」として別法人化しているのは、沖縄でのビジネスを円滑に進めるため、そして「沖縄に根付いた企業」であることをアピールし、税金を地元に納めている姿勢を示す狙いもあります。
2. なぜ県外企業が受注してしまうのか?2つの高い壁
近年は県内企業の受注比率が上がっているものの、依然として約3割を県外企業が占めています。その理由は、単純な金額の問題ではなく、「技術力」と「資金力」という構造的な壁があるからです。
① 技術力と設備投資の限界
大型の公共工事には、高度な特許技術や専門の大型重機(設備)が必要です。本土のスーパーゼネコンが持つ特許工法が必要な場合、入札の時点で必然的に県外企業への発注が決まってしまいます。
地元企業が技術や設備に大金を投じたとしても、「それを回収できるだけの工事数が将来にわたって維持できるか」という経営リスクがあり、簡単には投資できない現実があります。
余談だが、現在、辺野古で進められている、米軍の滑走路建設だが、検討段階で、環境に配慮するため、羽田などで実用化されている、フロート式の滑走路も検討されていた。
しかし、台風の多い沖縄では問題があるとのことで却下され、今の埋め立てに繋がっているが、このフロート式に関しては、県内企業では技術力不足で受注できないことも考慮され、県内企業に発注できるよう、従来式の埋め立て工事になった経緯もあると言われている。
② 沖縄の金融機関(地方銀行)の資金力
長期の大型工事を請け負うには、巨額の運転資金が必要となり、銀行からの融資が不可欠です。しかし、沖縄にはメガバンク(都市銀行)の支店がほぼなく(※みずほ銀行が宝くじの業務関係で1店舗あるのみ)、地元の琉球銀行や沖縄銀行といった地方銀行が中心です。
地方銀行単体では、一企業に対して数百億規模の大型融資を実行できるだけの資金力に限界があり、結果として資金力のある本土企業が案件をさらっていく要因になっています。
ただし、もしメガバンクが沖縄に入った場合、県内の大手企業がそちらに流れ、県内の金融機関に大きなダメージとなることも考えられ、頭痛い問題だ。
銀行に関しては、沖縄のメディアが銀行に配慮しているのか、沖縄のメディアで報道ベースに乗ることは少ない。
3. 県政と企業の根深い関係。保革を問わない「癒着」の構図
この問題をさらに複雑にしているのが、政治(県政・国会議員)と地元企業とのつながりです。
過去に、県内の市町村長や職員が企業から賄賂を受け取るような事件が度々報道されることがある。
このような事件だ
前竹富町長、1000万円超の現金を受け取ったか 加重収賄容疑で再逮捕へ
収賄の沖縄・糸満市元係長、贈賄の会社元代表に有罪判決 公園整備巡る家電授受で那覇地裁
土木建築などの賄賂問題は、沖縄だけではないと思うが、沖縄は特に多く、発覚しているのは氷山の一角なのではないかとも言われている。
沖縄の土木建築業界や大手ビジネスグループは、政治の勢力図と密接にリンクしています。保守系・革新系(オール沖縄)を問わず、政権交代が起こるたびに「どの企業が優遇されるか」が変わる構図が透けて見えます。
保守系(自民党)と地元大手のつながり:地元最大手の建設会社などは、身内から議員を輩出するなど自民党の強力な支持基盤です。自社で受けきれない大型案件は、繋がりの深い本土の大手ゼネコンを入れ、自らは下請けに回ることで確実な利益を得るスキームも存在します。
革新系(オール沖縄)と地元グループのつながり:辺野古移設反対を掲げた前知事を支えた地元大手流通・建設グループは、県政誕生後に大型プロジェクト(MICE開発など)の恩恵や、関連企業からの人事登用などが見られました。防衛局発注の防音工事などを多数受注していた過去もあり、政治的スタンスと実利が複雑に絡み合っています。
年間約3,000億円もの沖縄振興予算が国から投入され続けているにもかかわらず、沖縄県民の所得が全国最下位レベルにとどまり続けている理由は、ここにあります。公平な入札ではなく、政治家と特定企業の間で予算が「分配」され、一般市民まで豊かさが届かない構造になっているのだ。
また、沖縄県知事が保守から革新、革新から保守へと変わると、沖縄都市モノレールの代表や、コンベンションビューロ(観光協会)などの第三セクターのトップが変わる。もちろん、その知事を選挙中に応援していた企業や関連団体から選ばれている。
まとめ:沖縄の「闇」をクリアにする政治家は現れるか
技術力の向上や、金融機関の再編(将来的な地銀の統合やメガバンクの配下入りなど)によって、構造的な問題は少しずつ変わるかもしれません。しかし、最も根深い「政治と企業の癒着」を断ち切らない限り、沖縄のザル経済の本質的な解決は難しいでしょう。
この構造は、土木建築業界だけでなく、観光業や地元のマスコミまで広い意味で網の目のようにつながっています。
このような沖縄の構造的な課題や、メディアがあまり報じない一面について詳しく知りたい方には、数年前にベストセラーとなった書籍『沖縄の不都合な真実』を一読することをおすすめします。沖縄が抱える「本当の課題」が見えてくるはずです。