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ユナイテッド航空、沖縄・那覇〜サンフランシスコ線を新開設 その背景にある需要を考える

うだせいチャンネル

沖縄県知事選挙をめぐるニュースがネット上をにぎわせているが、沖縄でちょっとした話題になったのが、ユナイテッド航空が2027年から沖縄・那覇とサンフランシスコを結ぶ直行便を開設するというニュース。地元紙の琉球新報でも、紙面の片隅ではありますが、一面で取り上げられている。

「沖縄からサンフランシスコへ直行便」と聞くと、沖縄県民にとってかなり大きなニュースだ。
一方で、気になるのが「果たして、そこまでの需要があるのか?」という点。

今回は、この新路線がなぜ開設されるのか、沖縄ならではの需要という視点から考えてみる。

2027年3月27日、那覇〜サンフランシスコ線が開設

ユナイテッド航空が発表した新路線の概要は次の通り。

  • 路線:沖縄・那覇〜サンフランシスコ
  • 開設日:2027年3月27日
  • 運航便数:週3往復
  • 那覇発:火・金・日曜日
  • サンフランシスコ発:月・木・土曜日
  • 機材:ボーイング777-200ER
  • 那覇→サンフランシスコ:約11時間
  • サンフランシスコ→那覇:約13時間15分

運航スケジュール

UA834
沖縄・那覇 17:50 → サンフランシスコ 12:50 火・金・日曜日

UA833
サンフランシスコ 10:35 → 沖縄・那覇 15:50(翌日)月・木・土曜日

沖縄からアメリカ本土へ、乗り継ぎなしで行けるようにり、沖縄県民にとって、かなり大きな変化です。

実は「観光客」だけがターゲットではない?

ここで、「沖縄からサンフランシスコへ、そんなに観光客が行くのか?」という疑問が出てくる。
もちろん観光需要はあるだろう。
ただ、この路線については、観光客だけをターゲットにしているわけではないのではないかと考えている。

その理由の一つが、沖縄に住む米軍関係者の存在だ。

沖縄とアメリカを行き来する米軍関係者

私は大阪出身なので、現在でも関西空港を利用することがあります。基本的にはANAを利用するのですが、時々、ユナイテッド航空とのコードシェア便に当たることがあります。
私は関空と那覇のお往復ではあるが、コードシェア便は、サンフランシスコ → 関西空港 → 沖縄というルート。

この便に乗ると、制服姿の米軍関係者を見かけることがあります。制服を着ているので米軍関係者だと分かりますが、もちろん私服で搭乗している米軍関係者や軍属なども多くいるとみられる。
さらに、将校クラスなどであれば、ビジネスクラスを利用するケースも十分に考えられます。

つまり、沖縄とアメリカ本土の間には、一般的な観光客とは別の「人の流れ」がすでに存在しているわけだ。

今回の直行便は、こうした需要を取り込む可能性があります。

沖縄県系人の存在も大きい

もう一つ見逃せないのが、海外に住む沖縄県系人との往来

戦前から戦後にかけて、多くの沖縄県民が南米を中心に、アメリカやハワイなどへ移住しました。そのため、ブラジルなどには大きな沖縄県人会があり、沖縄の文化が大切に受け継がれています。エイサーや三線など、沖縄の文化を継承する若者も少なくなく、沖縄の若者よりブラジルの沖縄県系日本人の方が沖縄の文化を深く継承していると言っても過言ではない。

沖縄では5年に一度、「世界のウチナーンチュ大会」が開催されている。
世界各地から沖縄県系人が集まり、前回大会では新型コロナウイルスの影響もあり規模が縮小されましたが、2016年の第6回大会には、27か国・地域から7,353人が参加
私も2016年の大会で、セルラースタジアム那覇で開催されたイベントを見に行きましたが、とても盛り上がっていて、今でも印象に残っています。(この「世界のウチナーンチュ大会」は2027年にも開催される予定)

こうした背景を考えると、沖縄にはアメリカや南米などに親族や知人がいる家庭が少なくありません。その人たちの往来の需要も見越していると考えられる。

サンフランシスコ直行便で、海外が一気に近くなる

これまで沖縄からカリフォルニアに住む親戚を訪ねようと思えば、成田や関西空港などを経由する必要があったが、それが那覇からサンフランシスコまで直行できるとなれば、物理的にも心理的なハードルもかなり下がります。
なにより時間的メリットが大きい。

さらに南米へ向かう場合は、沖縄から成田・関空・中部などを経由してアメリカへ行き、そこからさらに南米へ向かうというルートとなる。

乗り継ぎによっては30時間以上かかることもあるが、那覇から直行便が出ると、5時間から半日程度の時間の短縮が見込まれる。
那覇からサンフランシスコへの直行便ができれば、少なくともアメリカまでの移動時間を大きく短縮できます。年配者の渡米のハードルも下がるだろう。
「沖縄から海外は遠い」という感覚が、少し変わるかもしれません。

また、沖縄から海外に行く場合、成田や関空などの乗り継ぎとなっていたのが、サンフランシス乗り換え、他の地域に行くという選択肢も増える。

週3往復だからこそ、採算が取れるのかもしれない

もちろん、ボーイング777-200ERという大型機を使う以上、相応の乗客を確保する必要がある。(国際線で230席〜350席程度)

しかし、

  • 沖縄の米軍関係者
  • 軍属などの関係者
  • 海外に親族を持つ沖縄県民
  • 沖縄を訪れるアメリカ人
  • アメリカへ向かう沖縄県民
  • 一般の観光客
  • ビジネスクラスなどの高単価旅客

こうした需要を合わせれば、一定の搭乗率を確保できる可能性がある。
週7往復ではなく、まずは週3往復というところもポイントだろう。需要が多ければ便数を増やす可能性もある。また一度路線を開設しておけば、需要の多いシーズンには臨時便などの便数を増やすことも容易い。

需要を見ながら慎重に運航する、という判断にも見える。

関西〜ロサンゼルス線なども新設

ちなみに、沖縄ではあまり報道されていませんが、ユナイテッド航空は今回の発表で、那覇〜サンフランシスコ線だけでなく、関西〜ロサンゼルス線の開設や、欧州・アジア10都市への新規就航、3つの新路線についても発表しており、アジア路線の強化をしていると考えられる。

つまり、今回の那覇線だけを単独で考えるのではなく、ユナイテッド航空全体の国際線戦略の中で見る必要がある。

一方で、気になることもある

今回の新路線は、沖縄にとっては間違いなく前向きなニュースだ。

ただ、いくつか気になる点もある。

まず、現在運航されている関西空港経由のANAとのコードシェア便はどうなるのかということだ。
那覇〜関空〜サンフランシスコというルートと、那覇〜サンフランシスコの直行便が同時に存在すれば、当然ながら需要が重なる。今後、コードシェアがどうなるのかは気になるところ。

また、那覇空港での整備や機内食などの地上業務も気になります。那覇空港にはANAの整備施設があり、もし今後、ANAとのコードシェアを縮小・終了するのであれば、その代わりに那覇空港での整備業務などについて何らかの契約が行われる可能性もあるだろう。

アメリカ本土まで飛ぶ便なので、機内食の調達なども新たな契約となる。
さらに、クルーの宿泊など、那覇を拠点とするためのさまざまなコストや契約も発生する。

ここからは、少し勝手な憶測

ここからは、あくまで私の勝手な推測。

今回の那覇〜サンフランシスコ線は、一定の収益が見込める路線だとしても、大きな利益を生み出すドル箱路線とは考えにくい。また、新たな契約やANAとの関係などもある。

それでも、ユナイテッド航空が新規就航を決めた。
ここが少し気になるところだ。
もちろん、今後の沖縄の需要拡大を見込んでいる可能性もあります。

しかし、単純に「沖縄からサンフランシスコへの観光需要が増えるから」というだけでは説明しにくい部分もあります。
そこで考えてしまうのが、米軍関係者の往来です。

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米軍関係者の往来を見越した路線なのか?

在沖米軍は、グアム移転などによって長期的には規模が縮小する方向にある。
一方で、2027年にかけては、海兵沿岸連隊(MLR)の配備計画や普天間飛行場の新たな燃料施設の整備など、米軍関連の動きも予定されている。
米兵そのものの移動であれば、米軍機などによる輸送も考えられるが、軍属や家族、関係する民間人などが頻繁に移動するのであれば、民間航空会社の利用が便利だ。

そして、そうした需要が一定期間続くと見込まれているのであれば、ユナイテッド航空が「沖縄〜サンフランシスコ」という直行便を設定する理由の一つになっていても不思議ではない。

もちろん、**米政府機関からの要請があったのではないか、という勝手な推測もできるが、**これはたとえそうであったとしても、表には出てこない話だろう。

ただ、航空会社が大型機を使って週3往復の新路線を開設する以上、単純な観光需要だけではなく、さまざまな旅客需要を総合的に判断しているはずだ。

沖縄からアメリカが近くなる

沖縄からサンフランシスコへの直行便。
単純に考えれば、「沖縄からアメリカへ行きやすくなる」というだけの話。
しかし、その背景を考えてみると、
米軍関係者、海外に住む沖縄県系人、親族訪問、ビジネス、観光……
さまざまな人の流れが見えてきくる。

そして、沖縄で新しい動きが起きたとき、「なぜ、このタイミングで?」「誰が利用するのか?」と少し掘り下げて考えてみると、表面的なニュースだけでは分からない背景が見えてくることがあり非常に興味深い。

今回のユナイテッド航空の那覇〜サンフランシスコ線も、単なる「沖縄とアメリカを結ぶ新しい直行便」というだけではなく、沖縄とアメリカの人の流れが、これからどう変化していくのかを見る上でも興味深い路線だ。

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