9月13日投開票の沖縄県知事選で玉城デニー氏の街頭演説に対し、大声で叫ぶなどの行為が相次いでいるとして、選挙母体「県民と歩む会」の新垣邦男事務総長と山内末子事務局長らが8月31日、沖縄県警に候補者の安全確保を申し入れた。
同会弁護団によれば、8月29日に那覇市で開かれた集会では警察官が警備に当たっていたものの警備が手薄で、演説中に本人の意思を伝える際に支障が出たという。「人殺し」などの怒号が飛び交ったとされ、弁護団側は「今回は特に表現の自由を超えた直接的な妨害が目立つ」として、これ以上のエスカレートを防ぐための警備強化を求めた。山内事務局長は候補者に詰め寄って暴言を吐いたり大声で叫んだりする行為が、見ている有権者の萎縮や選挙への不信感につながりかねないとの懸念を示している。陣営側は「言論の自由を超えた犯罪行為だ。きちんと取り締まってほしい」とも訴えている。 玉城デニー氏側、県警に安全確保を要請 演説中に妨害行為が相次いでいると訴え 沖縄知事選 +3
大声でのヤジによって候補者の演説を妨げる行為は選挙妨害にあたり、本来慎むべきものである。
ただし、過去を振り返れば、いわゆる「しばき隊」(旧称・レイシストをしばき隊)による保守系候補への妨害行為も度々問題視されてきた。この団体はもともと2013年にヘイトスピーチへの対抗運動として発足したが、次第に大声でのコールや待ち伏せによる「説教」など、より攻撃的な手法へと変化していったとされ、近年は保守系候補者の街頭演説を妨害する行為が目立ち、選挙妨害ではないかとの指摘が高まっている。 NoteAmeba
こうした行為に対して、警察が明確な形で妨害そのものを事前に阻止した例は乏しく、逮捕者が出ても比較的早期に釈放され、不起訴や罰金で終わるケースが多いのが実情だとされる。言論・表現の自由との兼ね合いもあり、対応が難しい面はあるのだろう。実際、神戸市議会でも公職選挙法の「選挙の自由妨害罪」の運用をめぐって、こうした妨害行為の取り締まりのあり方が議会で取り上げられている。 NoteGo2Senkyo
今回についても、実際には「警備強化」の要請という枠にとどまり、ヤジを飛ばしている当事者に対して警察が直接的な措置を取るかは不透明だ。玉城氏は現職知事という立場にあるため、身辺・活動を守る前提で警備が強化されること自体は自然な流れとも言える。
一方で気になるのは、これまで辺野古工事への抗議・妨害行為などを通じて、玉城知事に近い立場の勢力とみなされてきた「しばき隊」的な集団の存在である。左派・リベラル陣営全体としては、こうした街頭での実力行使をこれまで明確には批判してこなかったとの見方もできる。
もっとも、この点については変化の兆しもある。日本共産党は2026年7月2日、機関紙「しんぶん赤旗」に掲載した論文で、「暴力行為を連想させるパフォーマンス」は党の綱領や規約と相いれず、党として許容できないとの見解を示した。これは高市早苗首相やトランプ米大統領らを標的にした「射的」パフォーマンスを行った党員が問題視されたことを受けたもので、大音量での抗議など「しばき隊」の系譜に連なるとみられる活動スタイルと一線を画す動きとして報じられている。 Yahoo!ニュース
とはいえ、こうした自浄的な動きが出てきたのはごく最近のことであり、これまで妨害的な街頭活動が長らく黙認・容認されてきた経緯自体は消えるものではない。そうした経緯を踏まえると、いざ自分たちがヤジを浴びる立場になった途端に「被害者」としての姿勢を強調する構図には、いささか都合の良さを感じざるを得ない。
