内閣広報予算が前年の10倍にあたる約72億円計上されたと報じられ、さまざまな議論を呼んでいる。
予算の目的と政府の説明
予算の主な使途は、物価高対策、子育て支援、経済安全保障、安全保障政策といった重要政策について、「伝わりやすい広報コンテンツ」を制作・発信することだ。政府は、ネットや動画視聴、AIの浸透によって、従来の手法では幅広い世代に情報を届けにくくなっていると説明している。木原稔官房長官も記者会見で、政府広報のあり方を改革する必要性を訴え、理解を求めた。
一方、ネット上では「政権のプロパガンダに税金を使うのか」「金額が大きすぎる」といった疑問や批判が上がっている。
懸念されるポイント
テレビや新聞から離れた若い世代に向け、政府がネットで広報を行うこと自体は、必要な取り組みといえる。
ただ、主要政策については、既存メディアもネット上で多角的に発信している。その中には政権と立場を異にし、厳しい論調で報じる媒体もある。政府広報がどれほどの規模でネットに出るかは不明だが、既存メディアの声をかき消すほどの量になれば、プロパガンダと受け止められる可能性は高い。
ネット空間ではすでに、一般の人が気づかないかたちで情報操作が行われているとも指摘される。加えて、SNSのアルゴリズムによって自分の好みに合う情報ばかりが表示される「フィルターバブル」や、同じ意見の人同士が結びついて意見が増幅される「エコーチェンバー」も起きている。こうした環境のなかで、政府がどのように情報を発信するのか、注意深く見ていく必要がある。
国民に求められること
私たち一人ひとりも、SNSに流れてくる情報にただ流されず、自ら多様な角度から情報を集めなければならない。いま目にしている情報自体がプロパガンダである可能性も意識しておきたい。とりわけ、自分の意見や感情に強く重なる内容ほど、知らぬ間に誘導されているおそれがある。プロパガンダを批判する言説さえ、プロパガンダとして流通しうることも念頭に置いて情報に接するべきだろう。
さらに、ネット以外にも、識者の意見や古典・書籍・偉人に触れ、物事の本質を見抜く力や、是非や正邪を見極める目を養っておくことが大切だ。それはこれからの時代を生き抜く術になると考える。
