2026年10月25日に投開票が行われた那覇市長選挙。 無所属現職の知念覚氏(63)=自民、立憲、維新、国民、公明、社大推薦=が6万3,306票を獲得し、見事に当選を果たした。
マスコミ等で「事実上の一騎打ち」と報道されていた、市民団体会長で無所属新人の久手堅幸子氏(74)=共産、社民推薦=は2万2,280票にとどまる結果となった。 なお、投票率は35.81%と過去2番目の低さを記録している。
【得票結果】
- 知念 覚:63,306票(当選)
- 久手堅 幸子:22,280票
- 矢島 賢斗:1,419票
- 吉嶺 諒:1,412票
出口調査に見る「党の推薦」と「有権者の投票行動」のズレ
今回の選挙結果と各報道機関の出口調査を詳しく紐解いていくと、ある事実が浮き彫りになってくる。 それは、「オール沖縄」の明らかな衰退だ。
一見すると、知念氏が久手堅氏に約4万票もの大きな差をつけて勝利できたのは、保革の枠組みを超えて立憲民主党や沖縄社会大衆党(社大党)の推薦を取り付けたからであるようにも思える。
しかし、各報道機関が実施した出口調査のデータを見ると、立憲や社大の支持層の約8割は、実際には久手堅氏へ投票していたという結果が出ている。
立憲などの政党側としては、市政での存在感を高める狙いから知念氏を推薦したわけだが、実際の有権者は党の方針とはまったく別の行動を起こしていたことがわかる。
「反戦・反基地」で票を集められた時代の終わり
もともと那覇市はリベラル色が比較的強い地域だ。 過去の那覇市長選においても、対抗馬として「オール沖縄」をバックに出馬した翁長氏は、知念氏に及ばなかったものの、54,125票を獲得して1万票差まで詰め寄っていた。
また国政選挙においても、那覇をメインとする「沖縄1区」では、共産党の赤嶺政賢氏が常に5万〜6万票を得て当選を重ねてきた経緯がある。
今回の選挙で久手堅氏は「反戦」や「反基地」を前面に出して強く訴えていた。 しかし、その層は明らかに減少している。「反戦・反基地」を訴えてさえいれば多くの票を集めることができたかつての状況から、明らかに変化が起きていると言わざるを得ない。
「オール沖縄」の枠組みに生じる大きな亀裂
現在、那覇市内で共産党が持っている固い票は1万票程度と見られている。 その観点だけから見れば、共産党推薦で出馬した久手堅氏の2万2,000票あまりという数字は、想定以上の票を獲得したようにも見える。
しかし、立憲や社大の支持層の大半が久手堅氏に流れていたという出口調査を踏まえると、「反戦・反基地」を掲げるいわゆる「オール沖縄」という枠組み全体の支持は大きく減少しており、事実上、半減していると言えるだろう。
さらに、今回の那覇市長選で立憲や社大といった政党が知念氏を支持したことで、「オール沖縄」の内部自体にも修復しがたい大きな亀裂が入っている可能性は否定できない。
知事選における現職・玉城デニー知事の大敗北も記憶に新しいところ。 これまで革新勢力がひとつにまとまることで保たれていた沖縄の政党勢力図は、今後大きな変化の局面を迎えていくのかもしれない。
