9月に行われた沖縄県知事選挙において落選した玉城デニー前知事。その選挙母体である「県民と歩む会」が11月1日、那覇市の沖縄県青年会館で総括会議を開催した。琉球新報の報道によると、会議には同会を構成する15団体の代表者が参加し、敗戦の要因や今後の姿勢について議論が交わされた。
しかし、示された総括の内容は、現在の沖縄が抱える本質的な課題や有権者の意識変化を捉えきれていない面が目立つ。
陣営が挙げた敗戦理由と「オール沖縄」の現状
総括会議において、敗戦の主因として次の3点が挙げられた。
- 支持基盤の固定化と広がりの不足
- 準備・態勢づくりの遅れ
- SNS戦略の遅れ
総括案では、「県民の意識と社会環境の変化を正確に捉えられず、日常的な政治活動、選挙体制や争点設定、政策発信に対する考え方をアップデートできなかった」と結論付けられている。
辺野古新基地建設の問題に関しては、「国の工事強行や県の法廷闘争の行き詰まりから、諦めや閉塞感が広がった」とし、辺野古沖での作業船転覆事故の影響にも言及があった。 また、「オール沖縄」という枠組み自体についても、解体してゼロからスタートすべきという意見が出た一方で、従来の枠組みを尊重し「団結していこう」と訴える声もあり、内部での温度差が浮き彫りとなった。
会議後、山内末子県議は「デニー人気頼み」で準備が遅れた点に加え、自民党側による8年間の「県政批判」によって「デニー人気で戦えない流れを作られてしまった」と振り返っている。
総括から抜け落ちている「実績と信頼」への疑義
こうした総括は、一見すると客観的な分析に見えるが、誰しもが思いつく表面的な分析の域を出ない。選挙戦の全体像をなぞればこのような結論に落ち着くのだろうが、重要な視点が一つ決定的に抜け落ちている。
それは、玉城デニー氏自身の知事としての実績不足や、県議会等での対応に対する失望により、有権者からの信頼そのものが失われていたという点だ。
既存メディアの報道を中心に接している世代には見えにくいかもしれないが、SNSやネットを活用して情報を収集する現役世代の間では、知事の政治姿勢に対して強い疑問が広がっていた。
- 生活実感が向上しない停滞感への不満
- 安和桟橋へのガードレール設置を拒否するなど、県議会で見られた対応への疑問
- 過激な基地反対運動を黙認・支持するかのような姿勢
山内県議は「デニー人気頼み」だったと述べているが、実際には選挙戦に入る前段階で、すでにその人気と信頼は陰りをみせていたと言わざるを得ない。
意識のギャップが招く今後の展望
今回の総括を通じても見えてくるのは、現役世代とシニア世代との肌感覚のギャップ、そして基地反対運動を主導する左派系の感覚と、特定の支持政党を持たない一般有権者とのギャップである。
これらの溝を正しく認識し修正できないまま形だけの総括を終えてしまっては、今後の巻き返しは難しい。有権者のニーズや社会の変化に取り残されたままでは、沖縄における左派勢力や野党陣営は、今後の選挙においても極めて厳しい戦いを強いられ続けることになるだろう。
出典:琉球新報
玉城デニー前知事の支持15団体、知事選総括「支持基盤 広がらず」 沖縄
https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5585960.html
【資料】玉城デニー氏を支持・支援した主な団体一覧
記録として、今回の知事選において玉城デニー氏を支持・支援した主な団体をまとめる。
■ 選挙母体:「県民と歩む会」
- 共同代表: 野国昌春(前北谷町長)、宮城公子(沖縄大学名誉教授)
- 事務局長: 山内末子(県議)
- 事務総長: 新垣邦男
■ 出馬要請に関わった団体
- 『ガマフヤー』(代表:具志堅隆松氏 / 主な活動:沖縄戦遺骨収集)
- 『宜野湾ちゅら水会』(代表:町田直美氏 / 主な活動:PFAS汚染問題取り組み ※共産党と強い関係)
- 『アクション沖縄』(代表:神谷めぐみ氏 / 主な活動:米兵による性暴力根絶)
- 『わったーちむてぃーち!』(市民団体27団体で出馬要請)
■ 労働組合・退職者団体
- 連合沖縄
- 日本労働組合総連合会(連合本部)
- 私鉄沖縄県労働組合連合会
- 沖縄県労働組合総連合(県労連)
- 沖縄県退職者連合
■ 平和運動・基地問題関連団体(支援勢力)
- 島ぐるみ会議
- 沖縄平和運動センター
- ヘリ基地反対協議会
- 平和市民連絡会
■ 若手政治団体・地域活動団体
- プロジェクトレキオ(政策提言・支援)
- ひやみかちデニーちむてぃーち実行委員会(135団体の推薦状を取りまとめ)
