豊見城市議会は2026年9月25日、9月定例会の最終本会議で自主解散を求める特別議決を採決し、賛成16、反対4の賛成多数で可決した。
これにより、本来は来年2月に任期満了を迎える予定だった市議選が、10月25日投開票の市長選と同日に実施されることになった。(出典:琉球新報 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-5524010.html)
日程がずれていた経緯
かつて市長選と市議選は同日程で行われていたが、2002年の市議選で不在者投票の置き忘れが発覚し選挙が無効となったため、翌年2月に再選挙となり、以降日程がずれたまま推移してきた。
議会改革の議論の積み重ね
同日選の実現に向けては、議会改革特別委員会が以前から検討を重ねてきた経緯がある。2018年には「解散すべき」との最終報告が出されたものの、議員提案には至らなかった。その後、昨年実施されたアンケートでは賛成14・反対7、今年6月の請願採択では賛成15・反対5という結果が出ていた。
こうした流れを後押ししたのが、市民団体「同日選挙を実現させる会」の活動だ。同会は2026年9月11日、5,080筆の署名と、市内8事業者・団体、37自治会からの要望書を議長と市長に提出。これを受け、25日の本会議での決議・可決に至った。
削減効果は最大約3,500万円
市選挙管理委員会の試算によると、選挙経費の削減効果は約1,200万円、議員報酬分を含めると約3,500万円にのぼるという。
解散の手続き要件
法律上、市議選は任期満了日の前30日以内に行うことが定められている。任期満了前に選挙を前倒しするには議会の解散が必要で、本会議での可決には定数の4分の3以上の出席と、5分の4以上の同意という高いハードルが課されている。可決により市議は即日失職し、以後の選挙期日は市選管が定める。
専門家からは慎重論も
琉球新報の報道によれば、行政学を専門とする沖縄国際大学の照屋寛之名誉教授は、任期を5カ月残しての解散に疑問を呈している。経費削減を理由に議会を解散することが繰り返されれば、選挙費用は民主主義を維持するためのコストであるという原則が損なわれ、節約を優先すれば代表制民主主義そのものが成り立たなくなる、と指摘している。(出典:琉球新報 https://ryukyushimpo.jp/politics/entry-5523309.html)
なお照屋氏は過去にうるま市長選挙へ立憲民主党から出馬した方でもある。
賛否に見える保革の温度差
同日実施をめぐる議論は特定の政治家・政党が主導したものではないが、賛否の反応には保守・革新で温度差が見られる。純粋に経費削減という観点だけであれば、政治的立場を問わず賛成しやすい案件だったとも言えるが、照屋氏のような懸念から慎重・反対の立場を取る市議もいるとみられる。
そうした中、9月13日の沖縄県知事選挙では自民党を中心とする保守系候補が大差で勝利し、オール沖縄を掲げた革新系は敗北した。ネット上でも革新系への批判的な投稿が相次ぐなど、選挙後の空気は革新系にとって厳しいものとなっている。こうした状況から、革新系としては知事選の余波が薄れるまで時間を置いてから市議選を迎えたいという事情があったのではないか、との見方もできる。
とはいえ、請願採択では賛成15・反対5だったものが、16対4と賛成を増やしており、経費削減などの市民の希望に応えた市議が多かったのだろう。
署名活動を後押ししていた保守系市議のFacebook投稿には「反対しているのは、共産党4名、社民党1名」と明記されており、賛否が政治的立場と重なって見える一因となっている。(出典:https://www.facebook.com/yasutaka.gibo/posts/3705026249635966/)
なお、市民団体「同日選挙を実現させる会」自体に特定の政治色はないとされるが、共同代表・発起人には土地家屋調査士事務所を経営する当銘盛光氏、豊見城市商工会青年部に所属する瀬長美咲氏が名を連ねており、市内経済界とのつながりの強さがうかがえる。県内経済界には知事選で保守系候補を支持していた層も多かったとされ、今回の決議は保守系に有利な形となったのではないか。
一方で、告示から投票日までの選挙期間が短縮されることは、これから出馬を目指す新人候補にとって不利に働く可能性が高い点も指摘しておきたい。
豊見城市長選挙
告示日:10月18日/投票日:10月25日
現職の徳元次人氏(45歳、無所属、1期目)と、前豊見城市議の大田善裕氏(46歳、無所属、新人、元市議3期)が立候補を表明している。(出典:https://udasei.com/archives/2183)
豊見城市議会選挙
告示日:10月18日/投票日:10月25日
当初は2027年2月22日以降の任期満了に伴う選挙が予定されており、定数は22人。
候補予定者については、選挙ドットコムに参政党の仲地勇喜氏の出馬予定が掲載されている以外、現時点で詳細は不明。
